サウジアラビアは2008年1月に、国内での小麦買い上げ量を年間12.5%ずつ減らし、2015年までに100%を海外からの輸入に切り替える目標を発表した。
政府は過去30年に渡って小麦自給率100%を維持してきたが、農業用水は大量の地下水を使用するため、国内では石油よりも早く、水資源の方が枯渇する危機感がある。
輸入小麦への完全依存計画は着実に進んでいる。最近の政府発表によると、予想よりも国内での小麦生産量が減少しており、サウジ政府の農業大臣Fahad Balghunaim 氏によると、小麦自給の削減計画を実施してから2年が経過するが、今までに国内の栽培面積の40%ほどが減少している、という。
米国農務省によると、サウジの2008年の小麦収穫量が170万トン。そして2009年は120万トン以下になると予測している。また、サウジ政府の穀物管理機関であるGSFMOのトップである Waleed al Khariji 氏によると、2016年までには年間300万トンを輸入し、国内消費を輸入小麦のみで満たす計画目標があることを発表している。
大量に水を消費する日用生活品の製造も禁止
政府による水資源への危機感は高く、日用生活品(食品など)の海外輸出を禁じる計画も決定した。
サウジには、Almarai社など日用生活品をサウジ国内で製造し、近隣諸国に輸出している大手企業も存在するが、国内消費以上の過剰な生産を禁止することで、国内製造にて使用される大量の水を節約しようとする狙いがある。
ちなみにAlmarai社では、大規模に乳牛を飼育し、ミルクやチーズなど様々な乳製品を製造している。
この計画によって、サウジ国内の関連企業への打撃は深刻なものだろう。海外への販売が禁止され、大きな損失が予想されるが、どのような補償が行われるのかは未定である。