鉄道関連企業では、以前にもJR九州やJR東海グループなどの農業参入記事をご紹介したが、大手私鉄である近畿日本鉄道も農業ビジネスへ進出する計画。沿線に広がる自社の遊休地を活用して農産物を生産し、収穫した野菜や果物を傘下の食品スーパーなどで販売する。奈良県と三重県で候補地を選び、2012年中の事業化を目指す。また観光農園としても運営し、旅客を誘致する。
大手私鉄が農業ビジネスに本格進出するのは初めて。排水施設など必要な設備を導入するために地元の自治体と協議に入る。新たに農業生産法人を立ち上げることや、建物の中で人工光や養液を使って効率的に栽培する「植物工場」の運営に乗り出すことも検討している。収穫した野菜や果物は近商ストア(大阪府松原市)など系列の食品スーパーで扱うほか、グループで運営するホテルやレストランでも提供する。漬物やジュース、ジャムなど加工品の販売も手掛ける方針。
その他の選択肢としては、耕作していない土地を沿線の農家から借りて受託生産することも検討している。沿線には、工場や住宅地向けに造成したが空き地となっている土地が多い。観光農園や体験農園として開放し、旅客の誘致にも力を入れる、という。JRでは、例えばJR東海グループであるジェイアール東海商事の農地リース方式による水耕栽培や同グループ会社である飛騨森林都市企画によるトウモロコシ(タカネコーン)や飛騨ホウレンソウの生産など、農業分野への積極的な姿勢がうかがえる。今回の近畿日本鉄道も、どのような施設・事業モデルで参入していくのか、今後の展開を継続的にお伝えしたい。
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