企業不動産(CRE:Corporate Real Estate)のマネジメントに注目が集まっている。2010年3月期末の決算から、オフィスビルなどの賃貸不動産の時価を開示する新しい会計ルールが導入され、遊休不動産を抱え込む企業は、有効活用を迫れている。
企業不動産(CER)マネジメントとは、企業が保有する不動産を経営資源のひとつととらえて、企業価値の最大化を目指す経営手法である。
保有不動産を有効に活用して収益力を強化する一方で、不要な資産と判断すれば売却して経営効率を高めることが重要となる。
企業が保有する不動産・資産価値は約490兆円
遊休資産の活用に植物工場も視野へ
企業が保有する不動産の資産規模は約490兆円といわれており、そのうち、大手企業だけで約120兆円を保有している。
こうした大きなビジネスチャンスについて、近年では不動産業界だけでなく、建設や駐車場などの関連業種も、自社の強みを生かした提案を行い、営業に力を入れている。
こうした有効活用策の一つとして考えられているのが、農業・植物工場分野である。既に、製造業・倉庫業などの遊休工場(倉庫)を有効活用するため、植物工場の導入を検討している企業も多いようだ。
こうした新規参入企業に対して、人工光型・植物工場の商品でも、丸紅が行う土壌栽培、展示用のミニ植物工場(例えば、ハウステンボス、両備ホールディング等が運営)、さらには、可能な限り複雑なシステムを省いた家庭菜園に近い”簡易型植物工場”など、用途・設置場所、予算に応じて、様々な商品を選択可能になっている。
ただし、植物工場による生鮮野菜の生産・販売事業だけで利益をあげることは非常に難しいのも事実である。特に施設規模の小さな植物工場の場合、教育や食育、障がい者雇用、福利厚生、エンターテイメントなど、関連するテーマと融合しながら、総合的なメリットで成功するかどうかを判断する必要があるだろう。