信州大学がアグリウェーブ/グリーンファーム社と共同で福祉施設向けの砂栽培による植物工場を開発。第1号機は千葉の老人ホームへ納入

信州大学繊維学部の谷口彬雄名誉教授・特任教授らのグループは、アグリウェーブ株式会社株式会社グリーンファームとの共同研究により、「福祉施設向けの砂栽培による植物工場」の開発に関する発表を行った。


<概要>
同「福祉施設向けの砂栽培による植物工場」の開発は、地域イノベーション戦略支援プログラム・グローバル型(第II期)(旧知的クラスター創成事業(第II期)平成19〜23年度)、経済産業省:平成21年度先進的植物工場施設整備費補助金事業による研究開発成果です。本仕様の福祉施設向けの植物工場の1号機は、グレースメイト松戸(介護付き有料老人ホーム、住所:千葉県松戸市旭町1丁目193番地)に納入されました


<研究開発成果の内容>
開発した植物工場は、一般的な農工商ベースの植物工場ではなく、児童福祉施設、老人福祉施設、障害者福祉施設、知的障害者更生施設などの「福祉施設」向けの植物工場です。

植物栽培ユニットは、栽培が簡単で連作栽培が可能な「砂栽培床」とし、栽培棚の高さを車椅子利用者に合わせるなど、福祉施設の特殊性を考慮しつつ、作業性や収量確保のための生産管理に配慮した仕様としました。今回の植物工場は、福祉施設のロビーまたは個室内に設置します。
具体的な仕様は以下のとおりです。


○ 砂栽培床方式
・連作障害が少なく、高生産回転率を確保
・栽培は砂、液肥、水のみで肥料の無駄がない
・砂栽培床のため栽培床からの溶液・水の漏れこぼれがない
・砂の特性により最適な根圏環境が保持できる
・冷暖房がほとんど不要(住環境内への設置)


○作業性への配慮
・車椅子に合わせた栽培棚の高さ設計
・AC100V で施設ロビーや施設内の個室にも設置可能
・初心者、高齢者、軽度障害者でも作業可能
・作業性の簡易化、クリーン化(きれい・簡単・安全)



<開発の背景と期待される応用>
今回の植物工場は福祉施設に併設する植物工場のモデルとなるものであり、以下のコンセプトにより開発を行いました。

○福祉施設併設型植物工場のコンセプト
・車椅子などによる作業など、福祉施設の特殊性を考慮し、生き甲斐や潤いのある人生に繋がる専用植物工場
・高齢者の生き甲斐の一助
・機能回復リハビリ機能
・高齢者の相互交流のきっかけ作りを目指す


信州大学先進植物工場研究教育センターは、今後、種々の福祉施設に適応した福祉施設併設型植物工場を企業等と共同研究開発を行っていきます。


<用語解説>
○信州大学先進植物工場研究教育センター(SU−PLAF)
経済産業省 平成21年度先進的植物工場施設整備費補助金事業で整備された全国8拠点のひとつ。

先進植物工場研究センターを拠点として世界標準(40ft)冷凍コンテナを用いた自立的完全制御型植物工場の研究開発、植物生育技術開発と植物工場関係企業、団体、事業者に対する人材養成を行っている。


○先進植物工場研究センター整備事業
植物工場の設置・運営に必要な課題を克服するための研究開発及び植物工場に取り組む地域の事業者等を支援するための技術指導、人材育成、情報提供等の取組を促進するため、必要となる施設、設備、機器等の整備の事業に要する経費を負担することにより、植物工場を普及させ、もって地域経済の活性化を図ることを目的としている。


平成21年度「先進的植物工場施設整備費補助金」による採択事業拠点一覧
・独立行政法人産業技術総合研究所
・地方独立行政法人青森県産業技術センター
・国立大学法人千葉大学
・国立大学法人東京農工大学
・学校法人明治大学
・国立大学法人信州大学
・公立大学法人大阪府立大学
・国立大学法人島根大学
・国立大学法人愛媛大学

※ 参考:日経プレスリリースより

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
植物工場・農業ビジネス編集部

植物工場・農業ビジネス編集部

投稿者プロフィール

植物工場・農業分野を中心に環境制御技術に関する最新動向ニュースを配信しております。

この著者の最新の記事

関連記事

大和ハウス工業 アグリキューブ 植物工場バナー
次世代農業EXPO 植物工場バナー
昭和電工 植物工場 バナー
植物工場設備販売(人工光型)_バナー
    ミラノ万博レポート「食と農業の未来」

過去のピックアップ記事

  1. 国内最大規模の植物工場施設の運営とライセンス事業を開始
     株式会社フェアリーエンジェルは、福井県美浜町に日本政策投資銀行から10億円の融資を受けて、大規模な…
  2. ノース・ダコタ州立大学が約40億円にて植物工場・研究施設を完成
     米国のノース・ダコタ州立大学では最新技術を導入した植物工場が完成した。総投資額は3300万ドル(約…
  3. 大規模植物工場のスプレッドが生産体制を増強・フランチャイズ事業を展開へ
    スプレッドでは、植物工場野菜ブランド『ベジタス』の需要増加に伴う生産体制増強のため、自社の技術力を結…
  4. スプレッドがアフリカ地域への植物工場システム導入の可能性を検討
     完全人工光型植物工場を運営するスプレッドは、京都府亀岡市に国内最大規模の植物工場を稼働させているが…
  5. 中国でも施設規模の拡大と労働者不足により小型農機の需要増
     人民网・天津報道局によると、キュウリの収穫・運送、または収穫後の梱包作業に要する一人当たりの人件費…
  6. 植物工場によるベビーリーフの受託生産を計画
     福井県にて大規模な完全人工光型植物工場を運営するシーシーエスは、ハウス土耕などでベビーリーフを生産…
  7. 完全人工光型植物工場による遺伝子組換えイチゴ。イヌの歯肉炎軽減剤が動物用医薬品として認可
     (独)産業技術総合研究所・北海道センターの生物プロセス研究部門植物分子工学研究グループは、ホクサン…
  8. NYブッシュウィック地区の再開発。緑豊かな巨大屋上スペースを確保・都市型農業も推進
     2015年3月、デザインファームのODAアーキテクチャーが、ニューヨークのブッシュウィックに、緑豊…
  9. シーシーエス、全ての植物工場事業から撤退を発表
     ジャスダック上場で検査用LED照明などを手掛けるシーシーエスは、植物工場プラント事業を廃止し、子会…
  10. 国際宇宙ステーション内の植物工場にてレタスを初めて試食
     国際宇宙ステーション(ISS)に滞在している米航空宇宙局(NASA)の宇宙飛行士が、機内の植物工場…
150629_英語ページバナー ログインページ(無料会員登録)_topside.logo
無料相談(経営相談・新規事業)バナー
151226 プレス募集バナー PR記事バナー 人材募集バナー

注目記事

  1. 住友電工、千葉大学と共同にて砂栽培・環境制御による高糖度トマトの収量増大を目指す
     住友電気工業株式会社と千葉大学は、住友電工がこれまで研究開発を進めてきた砂栽培技術と、千葉大の先端…
  2. パナソニックエコ、施設園芸・低コスト型植物工場をターゲットに局所環境制御技術を導入
     パナソニックエコソリューションズ社は、農産物の生産効率向上と生産者負担の軽減を図る「アグリ・エンジ…
  3. 台湾・植物工場マッチング視察ツアーの報告
     人工光型植物工場の稼働施設数では日本に次ぐ世界で2番目に多い台湾。2015年11月19日~22日に…
  4. いすゞ自動車、ミドリムシの開発ベンチャーのユーグレナ社と次世代バイオディーゼルの実用化へ
    いすゞ自動車は2014年6月25日、ミドリムシ(微細藻類ユーグレナ)を用いた製品を展開するバイオベン…
ページ上部へ戻る