前回に続き、今回も弊社の調査結果(2020年版「施設園芸・植物工場の市場動向~太陽光利用型~」)の一部をご紹介する。
養液栽培とは?水耕栽培と同じ意味なのか?
一般的には「養液栽培」と「水耕栽培」は同じ意味にて使用されていることが多いようですが、専門的に言えば、 養液栽培は大きな上位カテゴリーであり、その一部のサブカテゴリ―として「水耕栽培、噴霧栽培、固形培地栽培」がある 、とされています。
なお、固形培地栽培は、無機・有機に関わらず培地の上から潅水チューブ等で養液を供給する方式として「養液土耕栽培」とも呼ばれることがあります。
特に「養液土耕栽培」は食味アップのために、イチゴでは多くの施設が採用している栽培方式の一つです。こうした栽培方法は、全て上位カテゴリーの「養液栽培」としてカウントされているため、イチゴの養液栽培面積は大きな数値結果となっています。
植物工場とは?その定義は?
施設園芸をハイテク化し、屋外・栽培室内にて複数項目をモニタリング&設定値に合わせて自動制御することができる=複合(高度)環境制御システムを導入している施設を「植物工場」と分類しました。
農水省、一社)施設園芸協会も、同じような定義にて調査を行っております。
養液栽培の普及率は「6.4%」今後も急成長が見込まれる
そもそも、どういった品目で養液栽培が行われているのでしょうか?その回答は「トマト」と「イチゴ」の2品目です。その他の野菜も養液栽培が行われていますが、トマト・イチゴの2品目を合計すると、全体に占める栽培面積シェアは「72%」と大部分を占めております。
養液栽培の普及率(野菜全体)は「6.4%」イチゴでも「約11%」
施設園芸における養液栽培の普及率(野菜全体)は、H30年で「6.4%」 となっており、施設園芸の面積全体が減少する中で、養液栽培の面積・普及率ともに増加しています。
また、養液土耕栽培が広く普及している「イチゴ」の場合でも、養液栽培の普及率(面積比率)は「約11%」となっており、近年も拡大傾向であるとともに、今後の拡大余地が大いに残っていることが分かります。