最新の植物工場調査。市場流通する「トマト・イチゴ」の85%以上を施設園芸にて生産

今回は弊社の調査結果(2020年版「施設園芸・植物工場の市場動向~太陽光利用型~」)の一部をご紹介する。

2020年 養液栽培や植物工場の普及率に関する最新データ①
今回は「施設園芸(ガラス室・ハウス)」と、施設園芸をハイテク化した「太陽光利用型の植物工場」が対象となる。雨よけ栽培、トンネル栽培は「施設園芸」には含まない。

調査に関する要約

● 野菜のみを対象とした施設園芸面積(ガラス室・ハウス)は、H11年の「 37,484 ha 」をピークに急激に減少。近年は下げ止まっているが、今後の施設園芸面積も徐々に減少していくと予測(ただし、減少幅は小さい)。


● 施設栽培が可能な農作物の中で、市場規模(産出額, H30)が大きな野菜は、トマト(2,367億円)、いちご(1,774億円)、きゅうり(1,485億円)、ねぎ(1,466億円)、なす(907億円)、ほうれんそう(878億円)などが挙げられる。


施設園芸シェア(施設園芸が普及している野菜)
トマト、イチゴの2品目は「85~90%」。市場にて流通しているトマトやイチゴの85%以上は「施設園芸」にて生産されている。対象17品目の中で、最も施設園芸シェアが低いものが「レタス類」(2.5%)となる。

今回の調査レポートでは「施設園芸」「養液・水耕栽培」「太陽光利用型の植物工場」の3項目について、国内における市場動向を調査し、データを整理しました。

具体的には、上記3項目について、栽培面積推移・普及率やシェアを調査するとともに、市場規模が大きな2品目【イチゴ】【トマト】は、各品目ごとの面積推移、普及率などをデータ化し、グラフとして作成しております。

なお、今回は「野菜」「花卉」「果樹」の3項目のうち「野菜」だけに特化して調査しました。施設園芸の中でも、 野菜の栽培面積が全体の70%以上を占めており 、トマト(ミニトマト)、イチゴ、メロンといった高単価、かつ、市場規模が大きな農作物も全て「野菜」に含まれているからです。よって、野菜以外の「花卉」「果樹」は調査対象外となります。

施設園芸面積は20年間で18%も減少

野菜のみを対象とした施設園芸面積(ガラス室・ハウス)は、H11年の「 37,484 ha 」をピークに急激に減少していますが、民間企業(法人企業)による大規模施設が拡大しており、近年は下げ止まっている状況です。

しかしながら、農家数の減少・高齢化による後継者問題などの影響が大きく、 今後の施設園芸面積も徐々に減少していくと、予測しています(ただし、減少幅は小さい) 

2020年 養液栽培や植物工場の普及率に関する最新データ①

農業就業人口・基幹的農業従事者

例えば、農業就業人口は、H12年「約389万人」⇒ H31年「約168万人」 約20年間で57%も減少しています。

また、兼業を含まない自営農業を行っている農家数である「基幹的農業従事者」も、H12年「約123万人」⇒ H31「約98万人」 約20年間で20%が減少しています。

このようにみると、個人や家族経営である小規模な兼業農家が、大きく減少していることが分かります。

施設園芸における品目分析

そもそも、施設園芸や植物工場(太陽光利用型)にて、どういった野菜を栽培すべきなのでしょうか。今回は ① 市場規模が大きな野菜② 施設園芸が普及している野菜、の2つの指標をもとに分析しました。

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2020年版「施設園芸・植物工場の市場動向~太陽光利用型~」

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