農業に特化したデータ分析サービスを行っている、テラスマイル株式会社では、今まで蓄積してきたデータを活用して”産地経営の強化を行いたい”と考える農業経営者向けに、情報基盤「RightARM」を活用した『出荷予測実証サービス』を、2020年4月1日より開始した。
テラスマイルが従来行ってきた「RightARMを活用した営農支援サービス」から分離し、独立したサービスとしてこの度サービスリリースしました。
■背景
テラスマイルでは、RightARMというクラウド上で農業情報基盤を活用し、データ分析を行うサービスを提供しています。
取り組み先は主に農業経営者と行政機関になり、農業経営者へはスマート農業の導入支援とデータ分析サービスを、行政機関へはデータを活用した営農支援サービスを提供することで、事業成長してきました。
RightARMは、多種のセンサー・システムのデータフォーマットに対応したオープンプラットフォームで構築されています。
RightARMを活用することで、スマート農業における余分な投資コストを抑え、効果的にデータを見える化・分析することが出来ます。また、テラスマイルでは農業に特化した経営分析のフレームワークを開発しており、多面的に経営分析や効果検証を行うことが強みとなっています。
【現場の相談から立ち上げたサービス】
2018年から「今まで蓄積されているデータを活用できないか?」「出荷予測を行って販売力を強化できないか?」という相談を受けるようになり、知見と技術を活用して課題解決にあたってきました。
昨年は5つの予測実証プロジェクトに関わり、この春から新たに3つのデータ解析プロジェクトがスタートする計画です。
図1. 農業情報基盤RightARM
■サービス概要
本サービスをお届けしたいと考えるお客様は、蓄積したデータを活用して、現場のデジタル化を推進したいと考える農業経営者と産地のリーダー(JA・県市町村・外郭団体など)です。
栽培管理システムや環境モニタリング、環境制御システム、自動選果ラインが産地に普及する中、農業経営者の方々は蓄積したデータを活用し、産地経営力を強化したいと考えており、売上向上とコスト削減のレバーに成りうる”出荷予測(収穫予測)”というキーワードに魅力を感じています。
しかし、現在はデータを蓄積しても、個別業務(例えば優れた農業者の方が過去データを活用して作業計画作成)に活用されるのみで、契約先・系統・産地という単位での活用はできていません。
データも現場担当者が自由に単位を設定して入力されています。その結果、スマート農業などを導入・実証する際に、過去のデータが活用できない、活用に時間がかかるという問題も発生しています。
【システム導入は手段、まずは現場感のある目標を設定】
価格は、準備型が150万円、開始型が準備型の結果によって変動し300~600万円、予測実証後の次年度保守 60万円/年間となっています。
準備型にかかる期間は過去の経験から3-4カ月程必要となっています。
まずはサービスの前提条件に合意頂き、目指すゴール(目標)設定を行った後、実証プロジェクトがスタートします。オプションとして、データ活用について理解を深めるための「営農研究会」や「農業経営塾」などワークショップを行うことも可能です。
図2.出荷予測実証サービス-1
【農業ベンチャー企業として、業界に新たな風を流し込む】
弊社では、国のアグリテック推進の流れの下支えとなるべく全国に範囲を広げ、3年間で50プロジェクト、5年間で100プロジェクトの実行(データの判定・予測実証)を目標としています。
今後、「集出荷場を新設して先端技術を取り入れたい」「出荷予測を行い、産地競争に勝ち残っていきたい」「スマート農業を県内・部会内で導入していきたい」「契約産地の管理にデータを活用したい」と考えられている農業経営者の皆様は、現在蓄積されているデータの活用可否を確認する機会として、是非弊社のサービスをご利用ください。
■テラスマイルについて (詳細:https://www.terasuma.jp/)
2014年に創業。2017年4月より(株)エムスクエア・ラボ(静岡県牧之原市)と共にデータを活用した営農支援サービスの開発に着手。2018年4月に農業情報基盤「RightARM(ライトアーム)」を開発し、主に南九州で民間による営農支援を実施してきた。
2019年からは農林水産省 スマート農業実証プロジェクト3カ所にて、データ解析や経営分析業務でRightARMが活用されている。また、”営農研究会”と称された主にJAの若手農業経営者向けの勉強会は12カ所で定期開催されている。
(株)マイファーム(京都府京都市)とは農業経営塾等を通じた”データ活用(スマート農業)カリキュラム”を共同で開発している。農研機構 WAGRI アドバイザリーボード、宮崎県 農業経営指導士。
農林水産省 協同農業普及事業 事例(2019)、データの活用 事例(2019)など。本社は宮崎県児湯郡新富町(新富アグリバレー)、研究開発拠点は静岡県浜松市。
<見える化・分析・解析の実績>
施設:トマト、ピーマン、キュウリ、ナス、ミニトマト、パプリカ、スイカ、レタス、水菜、小松菜、ニラ、小ネギなど
露地:ホウレンソウ、ダイコン、ニンジン、キャベツ、ブドウなど
工芸:茶
<主な事業提携(技術提供)先>
業務資本提携:株式会社エムスクエア・ラボ(静岡県牧之原市)、株式会社マイファーム(京都府京都市)、筑邦銀行(福岡県久留米市)
事業提携・営業連携:株式会社クロスエイジ(福岡県春日市)、株式会社ファームアライアンス・マネジメント(東京都千代田区・熊本県熊本市)、株式会社ルートレック・ネットワークス(神奈川県川崎市)、株式会社ソフトビル(熊本県上益城郡山都町)、株式会社IT工房Z(愛知県名古屋市)など。
その他出資先:株式会社宮崎太陽キャピタル(宮崎県宮崎市)、株式会社ドーガン・ベータ(福岡県福岡市)、山口キャピタル株式会社(山口県山口市)、三井住友海上キャピタル株式会社(東京都中央区)他
■農業情報基盤「RightARM」について
2017年秋 農林水産省 人工知能未来農業創造プロジェクトを通じて開発されたデータ活用に特化した情報基盤。
AWS+Elasticsearch上に作られたビッグデータを蓄積できるデータベースと、10種類以上のセンサーや栽培管理システムのフォーマットに対応したデータコンバータを、Acroquest Technology株式会社(神奈川県横浜市)と共に開発した。
データの見える化にはtableauを軸にAWS/Quicksightや、Microsoft Azure/PowerBIを活用している。また、現在19万件以上の出荷量データと、1億レコード以上のセンサーデータをお預かりし、見える化・分析・解析サービスを提供している。情報基盤構築・改良の総投資額は1.7億円ほど。
Editor's Picks
-
田んぼに浮かぶホテルがコンセプト、スイデンテラスがリニューアルオープン
-
緑演舎による造園家がプロデュースする個人住宅向け「GARDENNERS HOUSE」事業をスタート
-
ミラノ都市部で自然に囲まれたオフィス空間を実現。ハイテク企業や研究者のハブ施設へリニューアル
-
シンガポールの高層住宅タワーをリニューアル。屋上には住民参加型の菜園も整備
-
メルボルンに駐車場スペースを活用した屋上農園「スカイファーム」が来年に完成
-
台湾の青果市場、屋上に農場を導入した最新施設として2020年に完成予定
-
ロンドン、屋上に植物工場ファームを併設した地元フードコート施設を開設
-
UAEの陸上養殖ベンチャー『Fish Farm社』サーモンなどの魚を本格販売へ
-
カナダの大学が連携。クリーン・エネルギー技術を活用した『高層タワー型の植物工場』を計画
-
海面上昇の対策、海洋に浮かぶ街「フローティング・シティ」食料やエネルギーの自給自足を実現