東京大学生物生産工学研究センターなどは、光環境に適合して、成長に必須なリン栄養(リン酸イオン)の吸収が調節されていることを発見した。
葉に照射された光が、赤色光受容体フィトクロムBを介して複数のシグナル伝達経路を活性化させて、根でのリン栄養の吸収を促進する仕組みを明らかにした。
今後は本研究結果にて、赤色光を強化した光の使用による農業生産の増大方法の開発やリン栄養の吸収能力が高い作物品種を作出する契機となることが期待されます。
発表概要
土壌中の無機栄養は作物の生産性を決定する重要な環境要因です。一方で、光も植物のさまざまな成長プロセスに影響を及ぼす重要な外部環境要因です。根で起こる無機栄養の吸収と、地上部の葉に照射される光の関係性についてはこれまで殆ど未解明でした。
今回、東京大学生物生産工学研究センターの柳澤教授らは、葉に照射された赤色光がシグナルとなり、根でのリン栄養の吸収を促進することを発見しました。
この現象では、赤色光受容体の1つであるフィトクロムBを介して複数のシグナル伝達経路が活性化されることによって、リン酸輸送体遺伝子の発現量が上昇することが重要であることも明らかにしました。
本研究により、光に応答して無機栄養吸収を調節する分子メカニズムの一端が明らかになったことで、今後、赤色光の強化による農業生産の増大方法の開発や、リン栄養の吸収能力が高い作物品種を作出する契機となることが期待されます。
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