東京大学農学生命科学研究科などは、植物の自他識別能力を応用した苗の作付け方法を考案し、キクイモで検証したところ、収量が増加することを明らかにした。
近年、さまざまな植物で自他識別能力を持つことが実験室や温室での栽培実験で多数報告されています。しかし、この能力を農作物の栽培方法に応用した事例はありませんでした。
そこで本研究グループは、キクイモを対象に、自他識別を応用した栽培方法の有効性を検証しました。キクイモは、親芋を分割することで複数の苗ができます。
もし、キクイモに自他識別能力があるとすると、同じ親芋由来の苗(自株)が隣り合うように配置することで、無駄な競争が抑えられ、結果として収穫量が増加することを想定しました。
温室での栽培実験と圃場試験の結果、予測の通り、隣が自株の場合には隣が他株の時と比べて株間の競争が抑えられ、イモの生産が増加しました。
この結果は、肥料や農地を増やすことなく、苗の由来を考慮して植え付けするだけで収量を増やすことが可能であることを示しており、農学的に重要な結果です。
加えて、植物の自他識別が野外環境でも重要な役割を果たしていることを示した点で生態学的にも重要な結果とも言えます。
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