凸版印刷株式会社は、植物工場をはじめとする次世代型農業ビジネスを手掛ける株式会社福井和郷と2016年8月26日付で資本・業務提携契約を締結し、2016年8月31日に同社が実施する第三者割当増資により発行する株式を引き受け、2億円出資した、という。
農業については現在、従来の農作物の生産にとどまらず、食品加工・流通・販売にも主体的に関わることで産業の活性化を狙う6次産業化へのシフトに注目が集まっています。凸版印刷は従来、農業およびその関連市場において、農産物やその加工品の商品企画や包材開発、ブランディングやマーケティング分析などを提供し、多くの採用実績を有しています。
福井和郷は、契約農家が生産した農産物の加工・販売を手掛ける株式会社和郷が2014年5月に設立した農地所有適格法人で、環境制御システムやICT栽培システムを導入した連棟ハウスでブランドトマト(太陽光利用型植物工場)を栽培するなど、次世代型の大規模施設による農業事業を展開しています。
■ 具体的な事業展開について
(1) 次世代施設型農業における、IoTを活用した生産効率化ソリューションの開発
農産物の生産工程を、製造業の視点で精査・分析することで標準化・見える化し、生育環境の適切な制御や、病気の有無や収穫時期などの判断を自動化するIoTシステムの構築を、ハードとソフトの両面から推進します。
具体的には、当社が持つ半導体関連技術や画像解析技術、機能性フィルムや建装材向け部材の開発技術およびマニュアル作成のノウハウなどを活用し、関連する新製品・新サービスを開発します。
(2) 機能性包材やトレーサビリティなど、生活者のニーズに基づく新しい流通スキームの構築を支援
安全や鮮度の重視、健康・ヘルスケアへの配慮など、生活者の多様なニーズに対応した新しい生鮮青果の流通スキーム構築を支援します。
具体的には、長期の鮮度保持を可能にするパッケージなどの輸送資材やトレーサビリティを確保した輸送・流通システムの開発、選果・加工・配送の受託などの農業BPOなどに取り組みます。さらに、凸版印刷の既存得意先である多くの企業とコラボレーションした新商品や新サービスの開発を積極的に行い、農産物の新しい価値を創造します。
(3) 植物工場における栽培可能品目の拡大
採算性や技術的な側面から栽培品目が限られる植物工場において、市場調査や栽培技術・手法の実証を推進、生産可能品目のラインアップ拡充を目指します。
■ 今後の目標
凸版印刷は今後、農業関連市場に対し、産業の活性化を促進する技術およびソリューションを核とした製品・サービスの開発・提供を推進。2021年度に本事業全体で約100億円の売上を目指します。
同社によるプレスリリース: http://www.toppan.co.jp/news/2016/11/newsrelease161107.html
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