スタンシステム株式会社と日本IBMは、スタンシステムの自動制御式LED植物工場のITインフラに、IBMのクラウド「SoftLayer」が採用され、2015年3月31日より稼働開始したと発表した。自動制御式LED植物工場は、発芽、光合成の促進、葉の形成、開花調節といった作物の生育状況に適したLED光(周波数・光力)を照射させることにより、作物に最適な栽培環境を維持して植物を育てる工場となっている。
植物工場の現場では、発育に応じたきめ細かなLED光質環境を構築することが必要であり、そのための優れた栽培レシピの作成や、自動化によるコスト削減が課題となっていました。
スタンシステム自動制御式LED植物工場は、温度センサー、湿度センサー、CO2センサー、水分センサー、pHセンサー、ECセンサー、LED光装置、Webカメラを配置し、作物生育画像や温度、湿度、二酸化炭素といった作物栽培環境データを自動収集して生育状況を把握します。
各機器から集まるセンサー・データや画像データを自動収集して分析し、栽培作物毎の栽培レシピに基づいて、多数のLED管(赤・青・緑)をオンとオフで自動制御して光力調整も行い、作物に最適な栽培環境を維持して植物を育てます。また、LED植物工場内の栽培環境はセンサーやカメラで常時監視しています。
スタンシステム自動制御式LED植物工場を支えるITシステムは、照明自動制御システム、自動栽培用レシピ管理システム、栽培履歴情報収集分析システム、画像処理システムがあります。これらは、IBMのクラウド・サービス「SoftLayer」を活用し、東京のデータセンターを本番環境にて利用し、米国・サンノゼのデータセンターをバックアップとして利用しています。
今回、SoftLayerを採用した理由としては、生育画像、各種センサーデータ等の大量データに対して低コストで利用できるため、ビッグデータ、IoT時代のクラウドとして最適であったことです。その他、サービスの可用性・安定性に優れていること、高度なセキュリティー機能を備えていること、IT環境の機能強化や拡張などが柔軟かつ迅速に行えることなどがあります。また、コンピューター、センサー、機器間などで、メッセージング通信を行うソフトウェアMQTTを採用しました。
スタンシステムは、自社で蓄積したノウハウを踏まえ、LED植物工場用栽培環境最適化システム「スマートプラント」として、栽培情報ビックデータ分析に基づいた栽培作物毎のレシピ開発も含めた、完全制御型植物工場構築・自動運用のための総合サービスを提供していく予定です。また、今後、IBM® Watsonを利用した植物工場環境の最適制御システムも検討していきます。