水耕栽培で野菜を育てる「植物工場」をビルに作り、区画ごとに市民に貸し出す取り組みが兵庫県宝塚市でスタートする。植物工場を市民向けの「農園」として利用するのは全国で初めてといい、空きビル対策やまちづくりの拠点として注目を集めそうだ<詳細サイト:マイ野菜市民農園>。
同市の阪急逆瀬川駅前のビル地下2階約730平方メートルを利用。370床の栽培ベッド(1区画1・2メートル四方の台を372台並べ、46ワットの蛍光灯計586本で栽培)があり、レタスやミニトマトなど20種類以上の野菜の苗を養液に浸した発泡スチロールのベッドに植えると、露地物の約半分の1〜2か月で収穫できるという。
サービスによって料金は異なるが、レンタル料は月4000〜8000円程。市内の社会福祉法人「希望の家」が管理し、障害者雇用の場にもなり、月額300円を追加すれば代わりに世話を依頼できる。宅配をしてもらったり、収穫した野菜の一部を被災した宮城県内の福祉施設に届けたりするプランもある。
利用者は養液の交換や間引きなど数日に1度足を運べばよく、施設のスタッフに世話を頼み、遠隔地からウェブカメラで生育状況を観察できる。テナント不足に悩むビル会社が昨夏、駅前の活性化策を考える地元NPO代表の畑祥雄・関西学院大教授に相談。畑教授が「窓のない広い空間が活用でき、市民の癒やしの場になる」と、ビル内に作った植物工場の貸し出しを提案した。運営はNPOが担当している。