UAE・ドバイの太陽光利用型植物工場による生産事例「ミラク社」

(2017年7月28日に記事修正・更新しました)

UAEドバイの野菜・果物類の輸入額は年間13億ドル

 UAE(アラブ首長国連邦)では農業用に確保できる十分な水資源がなく、耕作可能な農地も少ない。今までは輸入品が、UAE国民や海外労働者の胃袋を満たしてきた。

インド・パキスタン・バングラディッシュなど、様々な国籍を持つ人々が混在している同国では、多様な食文化に対して、世界各国から様々な食料が輸入されている。少なくとも、UAEで消費されている食料の85%は、海外にて生産・製造されたものだ。

UAE最大の首長国であるUAEのドバイにおける2008年の野菜・果物類の輸入額は、約13億5,300万USドルとなっている。


2007~2008年の穀物価格高騰により、UAEといった中東諸国、さらには韓国や中国までもが、アフリカや東南アジアなどで農地を取得し、自国向けの食料確保に積極的な姿勢を見せている。

直近の食料価格は、長期的には上昇リスクが高いものの、比較的安定していることから、UAE国内でも海外農地取得や投資を行いつつ、自国の食料自給率を高めようとする声も上がってきているようだ。

約38,500の農家が53万haの農地を耕作。農家数・生産量が大きく減少

しかし、UAEでは銀行や不動産投資といった金融業界が大きな収入を得る一方で、現地で細々と行っている農家は経営的にも非常に厳しいのが実情である。

少量ではあるが、スーパーマーケットにて販売されている国内産の穀物や野菜の多くを、地元の零細農家が作っているが、砂漠が大半を占めるこの国で、肥沃な農地と限られた水資源を確保することは難しく、輸入品と比較すると販売価格はどうしても高くなってしまう。

UAE Ministry of Agriculture によると、2000年以降、農家の数や生産量は劇的に下がっており、UAE国内では約38,500の農家が53万haの農地を耕作している(2003年データ)。

農家の数は急激に減少しており、一つの農家が管理する農地は拡大しているようだが、政府は正確な数字を把握しておらず、大規模な統計調査が必要とされているが、現状では調査は行われていない。