カゴメ株式会社は、北海道の農業で深刻な問題となっている外来の害虫「ジャガイモシストセンチュウ」と「ジャガイモシロシストセンチュウ」に対して、抵抗性と密度低減効果を持つ加工用トマトを開発した。
本品種は、2020年より北海道を中心に本格的に栽培を開始する予定です。当社は本品種の活用を通じて、北海道における加工用トマトの産地拡大を図るとともに、持続可能な農業にも貢献いたします。
ジャガイモシストセンチュウは、1972年に国内で初めて、北海道で確認された外来の害虫で、ジャガイモやトマトなどナス科植物の根に寄生し、生育を阻害します。
それと同時に寄生により、ジャガイモシストセンチュウは爆発的に増殖するため、一度発生した圃場でのナス科植物の栽培は、ジャガイモシストセンチュウのまん延を助長します。現在、北海道を中心として1道4県11,000ヘクタール以上の農地でジャガイモシストセンチュウの発生が確認されています。
一方、ジャガイモシロシストセンチュウは、ジャガイモシストセンチュウと類似の外来の害虫です。2015年に国内で初めて、北海道で確認されました。
現在は植物防疫法に基づく緊急防除が実施されています。ジャガイモシストセンチュウおよびジャガイモシロシストセンチュウ(以下、2種を合わせて「シストセンチュウ」という)は、北海道の基幹作物であるジャガイモ生産の脅威となります。
そのため、シストセンチュウのまん延防止および根絶は、北海道における農業生産上の重要な課題となっています。
カゴメは、半世紀以上のトマト品種開発経験を生かし、シストセンチュウに対して抵抗性を保有する加工用トマト品種を開発しました。
本品種は、シストセンチュウに対して寄生されないだけでなく、土壌中のシストセンチュウ密度を低減させる効果も保有することを、農研機構北海道農業研究センターと共同で確認しました。
カゴメでは、国産加工用トマト原料を持続的に調達するための重要産地のひとつとして、北海道に注目しています。
しかし、加工用トマトは露地栽培を行うため、シストセンチュウの被害やまん延助長に対するリスク回避が、北海道における加工用トマト栽培の重要な課題となっていました。
本品種を活用することで、社会課題であるシストセンチュウのまん延防止に取り組みつつ、加工用トマト原料を持続的に調達することが可能となります。
本品種は、2020年より北海道を中心に本格栽培を行う予定です。今後は加工用トマトの産地拡大も検討していきます。
なお、本品種はシストセンチュウ抵抗性加工用トマト「KGM191」として品種登録出願(出願番号34087)を行いました。また、本研究内容は、日本線虫学会 第27回大会(2019年9月11日~13日、茨城県つくば市)にて発表します。
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