三菱樹脂グループ、MKVドリーム。苗を栽培する植物工場を利用した「養液栽培によるトマト」の生産・販売へ

三菱樹脂グループで農業資材を手がけるMKVドリームは、苗を栽培する植物工場と既存の養液栽培を組み合わせたトマト栽培法「トマトリーナ」による生産・販売を平成23年度から本格的に始める。通常の土耕栽培に比べ、1.5倍〜2倍の収穫量が可能。年間を通して計画的な収穫が期待できるのも特徴で、農業ビジネスの支援を目指す。
 
 
MKVドリームによると現在、国内のトマト生産は10アール当たりの収穫量が20トン程度にとどまり、トマト生産者は後継者不足や販売単価の低迷、病害虫発生などによる課題を抱えているという。
 
 
「トマトリーナ」と名付けられたトマト栽培法は、兵庫県や野菜茶業研究所の研究する「トマト1段密植養液栽培法」を高度化し、大量の苗を高密度で定植するもの。上の葉を持ち上げて果実と下の葉への太陽光を確保する独自の整葉法とMKVドリームの育苗工場である「苗テラス」を組み合わせた。
 
 
「苗テラス」は千葉大と共同開発した人工光閉鎖型苗生産装置で、より均質な無病苗を計画的かつ大量に供給。その苗をビニールハウスに移し、通常の栽培方法の4倍程度の密植と年4回転の多作化ができるという。コンピューターによる養液管理といった最新技術を取り入れるなど、MKVドリームの荻原勝年社長は「簡単に取り組める高度な野菜栽培技術だ」と説明する。
 
 
トマトリーナの導入によってLサイズの大玉果実を1株当たり4〜5個、10アール当たり30トンの収量を目標に掲げている。病害虫に強い安定的な収穫や、簡易な栽培方法による労務軽減が期待されている。
 
 
すでに4月から試験販売を始めたほか現在、10アール当たり50トンの収穫量を目標にシステムの改良に取り組んでいる。23年度には、年間5ヘクタールの販売面積を目指している。<参考:産経ニュースより>