UAEの今後の農業政策。食料自給率は36%/野菜:14%、穀物:40%、そして果物の自給率はゼロという政府公式調査

UAEを含め中東湾岸諸国(GCC)は、2008年に世界的な食糧価格の高騰に苦しんだ。こうした突然の食料価格高騰にも対応できるように政府が進めていることが、途上国の農地を買収・リースすることである。UAEは、スーダンに大規模なファーム・プロジェクトを進行中であり、すでに大きな投資が実行されている。
 
 
政府によると、スーダンにおけるUAEのファーム・プロジェクトで確保されている土地は、首都のハルツーム以外にも、東部アフリカ大陸のアラブ諸国にも農地が点在しており、合計で2,800平方kmと推定されている。Arab Organization for Agricultural Development (AOAD)によると、本プロジェクトの農地面積は、UAE国内の合計耕作面積を超えており、国の面積である8,200平方kmの3.1%にも及ぶという。また、このプロジェクトを推進するために、UAEによって設立されたスーダン現地企業に対して、既に6000万ドルの投資が行われているようだ。
 
 
こうした海外農地への展開と同時に、政府が去年発表したことは、突然の食料価格高騰に対する影響を緩和させるために、3か月分の食糧確保・備蓄ができる施設を建設する、というものであった。しかし、問題なのは、備蓄する食糧のほとんどが海外からの輸入品であることだ
 
 
途上国を中心とした農地確保や世界からの食料輸入、そして可能な限りの自国内での生産が重要」と考えるのは、アブダビの経済開発局Department of Economic Development (DED)の上級経済研究員であるAlaa El Din Moussaである。同氏は、もはや資金の問題ではなく、近い未来の食糧問題に対して、たとえ経済的に資金確保が難しくとも、安定的な食料確保を最優先しなければならない、とも主張している。
 
 
最近、経済開発局Department of Economic Development (DED)が、102の食品について調査したところ、自国内で生産された野菜が14%、砂糖が33%、穀物が40%、卵や調理用油が50%、といった自給率であった。特に、果物の自給率はゼロであり、その全てが周辺諸国などからの輸入に頼っていた。2009年のUAE全体的な食料自給率は36%である。
 
 
先ほどのMoussa氏によると、重要なのはリスク分散、柔軟な食料戦略を実行することである。海外農地にばかり投資が集まるのも問題であり、多くの水資源を使用する穀物生産は難しくとも、野菜や果物といった作物の生産は自国内でも進めていくべきだ、という主張である。中東湾岸地域は、気候や水資源の枯渇から、農業が難しいことは理解できるが、それでも様々な栽培技術を導入しながら、国内生産に取り組んでいる事例もある、という。確かに、本WEBサイトでも、UAEの水耕栽培施設に関する情報を掲載した(例:Emirates Hydroponics Farmsの記事
 
 
しかしUAE現地の農家・生産者の実情は異なり、経営的にも非常に苦しく、小規模・家族経営農家は栽培作物を変え、さらには農業自体を辞めるケースも多い。また国内農家への支援(資金や制度)も少なく、灌漑といったインフラ整備が行われていない場所も多い。一部の政府関係者は、農家向けの金融機関を新たに設立し、安い金利で貸し付けるサービスを充実させ、長期的には国内生産・自給率を高めていきたい、と主張する者もいるが、本音の部分での国内農家支援の優先順位は低いようだ。
 
 
現在、UAEも含めGCC諸国で世界のオイル資源による富の45%を握っているというが(NCBキャピタルによると)、こうした潤沢にある資金は、自国の経済成長や新たな産業確立のために充てられる。わざわざ厳しい条件下で、少ない自国内の農家を支援しても、GDPや雇用促進にどれほどの影響があるのか、この点を疑問視する人が多いのである。
 
 
国連食糧農業機関(FAO)によると、67億人から90億人(2050年予測)へ世界人口が増加した場合、生産者は現在の生産量から70%以上も増やす必要があると主張している。GCCの湾岸中東諸国だけで考えても、GCCの6カ国は世界で最大の食糧輸入国であり、2009年では合計で300億ドルを超える費用を費やしている
 
 
将来的にも食料確保が最重要課題であることは間違いないが、サウジアラビアやUAEといった国では国内農業よりも、海外農地の獲得を重視しているように見える。それでも大規模な施設栽培(恐らく、水耕が適しているだろう)にて、国内だけでなく海外にも農作物(再輸出や加工品も含め)を輸出する成功企業が増えるにつれて、国内農家・生産者への見方や風向きも変わってくるのかもしれない。
 
 

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