米国ワシントンの大学、食・農業ビジネスを通じて都市問題を解決する起業家の育成へ

 米国ワシントンDCにあるディストリクト・オブ・コロンビア大学では、食・農業ビジネスを通じて都市問題を解決する起業家アントレプレナーの育成に力を入れている。同大学ではサステイナブルな都市型農業に関する講義プログラムだけでなく、実際に農場を保有して生産も行っている。

生産施設には、狭い都市部でも効率な農業を実践するために屋上ファームだけでなく、大規模な露地栽培やハウス施設も運営している。

米国ワシントンの大学、食・農業ビジネスを通じて都市問題を解決する起業家の育成へ米国ワシントンの大学、食・農業ビジネスを通じて都市問題を解決する起業家の育成へ
屋上ファームは約1860m2の面積を持ち、トマトやスイスチャードなどを生産。大学キャンパス外では、周辺にある約58ヘクタールの農地にてジャガイモの大規模生産や、希少品種・栄養化に優れた野菜などを生産しており、最も辛いといわれている唐辛子「ブート・ジョロキア」、アジアやアフリカ各国の料理にて使用される野菜もある。

これは海外からの移住者が都市エリアでも急増しており、食文化も異なることから幅広い都市住民ニーズに応えるためだという。

 同大学では新しい生産技術や加工・流通・廃棄物のリサイクルマネジメントなど「食」全体のフード・バリューチェーンの変革に挑戦している。

新しい技術実証として、温室ハウスを利用したアクアポニクスではティラピアを養殖、野菜の水耕栽培のための養液循環ポンプ動力には太陽光パネルにて発電したエネルギーを利用している。

生産農場の運営は主にボランティアが運営しており、生産物は現地のCSAプログラムを通じて、大学のスタッフやフードバンクに提供されている。同大学の調査では、食品の流通業者の88%は生鮮野菜を取り扱っていない、という結果を受け、流通支援も行っている。

米国ワシントンの大学、食・農業ビジネスを通じて都市問題を解決する起業家の育成へ
今後は、貧困・肥満・人口増などの都市問題について食・フードシステムをビジネスで変革・解決するため、農業・食分野の起業家「フード/アグリ・アントレプレナー」の育成に力を入れていく、という。