自社生産・地産地消ローカル化を進めるb.goodレストラン
アメリカボストンを拠点とするb.goodは、東海岸にチェーン店を拡大するローカルのバーガーショップである。b.goodは12年前に健康に配慮したファーストフードを提供するというヴィジョンのもとに、地域コミュニティを大切にしながら店舗を拡大してきた。
同社では自社生産を拡大するため、ボストンからボートでおよそ30分の場所にあるロングアイランドにて、耕作放棄地を再利用し、7月上旬からケール、ミニチンゲン菜、ハーブなどを栽培している。メインは露地栽培だが、一部ではハウスも導入している。
同社では、周辺農家による出荷が少ない野菜などを中心に、全ての品目ではないが、自社にて生産した野菜を全31店舗に供給しようと計画しているようだ。
自社での生産は露地栽培だけではない。ガソリンスタンドをリノベーションして新店舗をオープンした際には、屋上スペースを利用してトマトなどを生産し、新鮮な野菜を店内メニューに採用する取り組みも行っている。
植物工場野菜の調達と自社生産にも挑戦
地域の食材にこだわった同社の場合、店舗エリアや季節によっては野菜の供給が不安定な場合もある。そこで2015年からは周辺の完全人工光型植物工場から野菜を調達するだけでなく、最近では高速道路の下に、コンテナ型植物工場を設置し、ケールなどのハーブ野菜の人工光による自社生産もスタートさせている。
その他にも、日本でいう店産店消型植物工場も設置しており(試験的な店舗のみ)、店舗で栽培したミントやコリアンダーなどのハーブ野菜がお客さんに提供されている。
新たな客層を取り込むため、娯楽型農業による地域活性化へ
数店舗の運営であれば米国の地産地消ブームを背景に自社生産に全て切り替えることもできるだろうが、同社のように既に30店舗以上を展開しているファーストフード・チェーン店にとっては、野菜の使用量も大きくなり、自社生産と並行して地域農家からの仕入れも重要である。
しかしながら、米国でも野菜を栽培する農家が減少しており、地産地消を維持できない所も多い。そこで、同社では新たな農場をオープンしたボストンのロングアイランドにて、農業体験型サマーキャンプなどを企画し、キャンプを楽しむために訪問した人々にも農業に触れる機会をつくり、最終的にはボランティアとして農作業を手伝ったり、新規就農につなげる取り組みを計画している。
本プロジェクトの準備も整い、土地の貸借を行うボストン衛生行政、キャンプ場の運営企業、農場を管理・維持するGreen City Growersとパートナーシップを結び、近いうちにサービスを開始する。
計画では、利益の75%はキャンプ場の維持費と運営企業に分配され、娯楽型農業体験キャンプを通して地域活性化につなげようと考えているようだ。
このように植物工場による自社生産、地産地消モデルを地域内にて維持するための新たな取り組み(農業体験型キャンプ)等、大手のファーストフード・チェーンとは異なる理念・活動により、差別化をはかろうとするb.goodの今後の成長に期待したい。