JAおうみ冨士とパナソニック、双方向型農業管理システム「栽培ナビ」の実証実験を開始

 JAおうみ冨士(滋賀県)とパナソニック株式会社は、2015年8月よりJAおうみ冨士において、スマートフォン等の端末を使用して営農指導員と農業者を双方向につなぐ、農業ICT管理システム「栽培ナビ」の実証実験を開始する。
JAに所属する営農指導員は、異常気象による突発的な病害虫発生や高温多湿による農作物の生育不良など、圃場で日々おこる変化への迅速な対応に加え、頻繁に行われる農薬情報の変更など、農業者に対する責務と指導内容が近年大幅に拡大しています。

今回、両社は、滋賀県で最大級規模の直売所を運営するJAおうみ冨士の保有する栽培ノウハウと、パナソニックが保有するICT技術を融合させ、クラウドサービスを介して営農指導員と農業者を双方向につなげる新たな農業ICT管理システム「栽培ナビ」を開発し、実証実験を行います。

 「栽培ナビ」には農薬を判定する機能と、「栽培計画」「栽培日誌」「圃場管理」など営農に関するデータを記録する機能を組み込んでいます。従来、病害虫が発生した場合は営農指導員が都度現場へかけつけて確認をしていたため、時間的制約が大きく、病害虫の特定や農薬の判定など、病害虫の駆除作業に至るまでに時間がかかる傾向にありました。

本システムでは、スマートフォンなどの端末を利用して農業者から送付された病害虫の画像をもとに、営農指導員が病害虫をその場で即時に特定できます。これにより、農業者は特定された病害虫に適した農薬を自ら判定することができ、駆除作業までの時間短縮が図れます。さらに、農業者の農薬判定の履歴が自動的に残り、その判定履歴から散布履歴を読み込むことで、情報が営農指導員にも共有されるため、JAでは適正な農薬資材在庫の管理と効率的な運営ができるようになります。

また、営農に関するデータの記録機能を共有することで、今まで農業者の勘に頼ることの多かった日々の作業に対し、営農指導員がより迅速で正確な指導を行うことが可能になります。さらに、次年度の「栽培計画」を立てる際も、双方でよりきめ細かく、精度の高い検討ができます。将来的にはこのような栽培指標を活用し、新規就農者育成、農業法人内従業員教育にも応用が可能です。