シャープ、中近東での「植物工場」の事業化に向けたイチゴの実証実験を開始

 シャープ株式会社は、同社の販売会社SMEF(アラブ首長国連邦ドバイ)の敷地内に、イチゴを栽培する「植物工場」の実験棟を2013年7月に設置し、9月から本格的な実験を開始した。今後、2015年3月まで実証実験を重ね「植物工場」の事業化を目指す予定としている。

同社はドバイにある販売子会社の倉庫内にイチゴを最大で月3千個栽培できる設備を設置。専用に開発したLEDや空気浄化技術「プラズマクラスター」を活用、八尾工場(大阪府八尾市)から遠隔操作で工場内の温度・湿度環境や光量などを制御する。

また、ドバイは日本に比べ植物工場を運営する場合の光熱費や人件費が安い。具体的には、日本での生産コストの4分の1程度に抑えられると見込んでいる。

イチゴの栽培技術は、大阪府立大学との共同研究に基づいて行われている。以下に同社によるプレスリリースを掲載する。

独自技術を活かした新規事業を展開。中近東での「植物工場」の事業化に向けた実証実験を開始

(2013年9月20日)
シャープは、中近東にある当社販売会社SMEF※1の敷地内に、イチゴを栽培する「植物工場」の実験棟を本年7月に設置し、9月から本格的な実験を開始しました。今後、実証実験を重ね、「植物工場」の事業化を目指してまいります。

日本産のイチゴは高級果物として中近東をはじめ海外で高い人気がありますが、傷みやすく日持ちしないことから、海外市場での流通が困難な状況です。

栽培場所や季節、天候に左右されない「植物工場」でイチゴの栽培が実用化されれば、年間を通して新鮮なイチゴの「地産地消」が可能になります。

当実験棟は、密閉された完全人工光型の植物栽培施設です。LED照明を用いた光制御やプラズマクラスター※2技術を活用した施設内の空気管理、温度や湿度のモニタリングなど、当社が保有するエレクトロニクス技術を活用し、イチゴの生育環境をきめ細かく制御します。これにより、イチゴ栽培に必要なノウハウをデジタル化し、安定した生産と高い品質を実現します。

今後当社は、本実証実験で得た「植物工場」に関する技術やノウハウをベースに、工場のプラニングやモニタリングサービスからメンテナンスまでを提供する「植物工場」のエンジニアリング事業を、現地パートナー企業との連携により推進してまいります。

■ 実証実験の概要
目的:中近東における「植物工場」の事業化
期間:2013年7月〜2015年3月(予定)
栽培植物:イチゴ(日本産の糖度の高いイチゴ)
場所:SMEF※1敷地内に実験棟を設置
当社の技術:LED、プラズマクラスター※2技術など

・当実証実験は、大阪府立大学とのイチゴ栽培技術の共同研究に基づき進めています。
・当実証実験は、経済産業省が募集した「平成25年度中小企業経営支援等対策費補助金(農業成長産業化実証事業)」に採択されました。

※1:Sarp Middle East Free Zone Establishment(SMEF): アラブ首長国連邦ドバイに所在する販売会社
※2:プラズマクラスターはシャープ株式会社の登録商標です。