新規事業として廃校を利用したシイタケ栽培に力をいれる農機メーカー/みのる産業。LEDを利用したシイタケ害虫駆除装置も開発

田植え機などの農機メーカーであるみのる産業(売上高:63億6800万円<2009年9月期>は新規事業として、シイタケの生産事業に力を入れている企業の一つ。国内農業の長期にわたる生産規模縮小を受けて農機の売上高はじりじりと減少。本業の技術力を生かした新分野で長期的な収益安定を狙っている。
 
 
シイタケ生産では、兵庫県北部・豊岡市の山あいに立つ中学校の廃校舎を転用した但東工場を運営しており、棚に並んだ食パンのような菌床ブロックを作業員が一つ一つ手に取り、6つの面に生えたシイタケをハサミで切り取っていく。「カサの開き方が収穫の目安。シイタケは日々、成長するので収穫作業は365日」と上世秀一工場長は話す。
 
 
廃校を利用した但東工場は本格稼働して2年以上が経過している。おがくずと栄養剤を固めたものに菌を植える菌床栽培を採用。セ氏20〜22度で100日間培養した後、18日間の収穫と10日間の休養を最大で4回繰り返す。かつての体育館や教室などが培養室や収穫のための発生室になっている。約30人で年間25万個の菌床を培養し、シイタケ180トンを出荷する。2010年9月期は1億5000万円の売り上げを見込む。
 

シイタケ害虫(キノコバエ)を「光」と「におい」で確実に捕獲

参入のきっかけはシイタケ栽培向けの捕虫器の開発(商品情報)だった。栽培の研究を始めたところに今の但東工場の売却情報が入り、買い取った。シイタケは大きさがまちまちで収穫の機械化が難しいため、エノキダケやシメジ栽培のような大手企業が少ない。中国産シイタケの残留農薬問題による国産シフトの追い風もあった。今の課題は効率的な栽培法の確立とスーパーや外食産業との直接取引の拡大である。