今は大人だけでなく、子供たちにも成人病や肥満と診断される一方で、両親からの教育や友人からのアドバイス、メディア媒体やダイエットなど、ちょっとしたキッカケから、ベジタリアンになる子供たちが米国では増えているようだ。例えば、Vegetarian Resource Groupによると、8歳から18歳までの子供1258人を対象に全米で調査したところ、1995年には1.4%だったものが、現在では3%にまで拡大しており、米国では牛肉や鶏肉といった肉類やシーフードなどを食べないベジタリアンの子供が140万人以上いると推計されている。
もちろん野菜を中心とした食事は、肉ばかりの食事よりも本質的には健康である。過剰な動物性タンパクを中心とした食事によって、男性・女性ともに、慢性的な成人病や早期死亡リスクが高まることは明らかである。また、野菜を中心とした低炭水化物の食事は、血管関連の疾患・死亡率を低下させることも分かっている。
また、German Cancer Research Centerが実施した、1904年から21年間に渡ってベジタリアンを追跡した調査によると、ベジタリアンの男性は、早期死亡リスクを50%も減少し、女性は30%も減少している、という報告もある。ただし、動物性タンパクや糖分・脂質の過剰摂取による様々なリスクと同様に、過剰なベジタリアンの子供たちにも注意が必要である。
Children’s National Medical Centerの小児科医であるHemant Sharma医師によると、野菜を中心とした食事ばかりだと、繊維質の食べ物を多くとることになり、1日の必要な摂取カロリーに達する前に満足感を覚え、十分な活動エネルギーを供給できる食事量に達する前に、満腹になってしまう傾向がある、という。よって、医師は、ベジタリアンの子供を持つ親に以下のようなことを勧めている。それは、3度のしっかりとした食事と、3度の高エネルギースナックである。
スナックといっても、豆腐や卵といった高タンパク食品と同様の効果を持つ、ナッツや植物の種、アボガドといったものである。特に10代の女性には鉄分を中心に気をつけながら、その他の子供たちにも、ビタミンDやB12、カルシウムなどの必要な栄養素をしっかり摂取できるような定期的な補給が重要である、という。
近年では病気も多様化しており、それは子供達においても同様である。肥満傾向の子供達には、専用のサプリメントや運動プログラムを提供するサービスがあれば、ベジタリアンの子供達には、親に過剰な危機感を抱かせながら、スナック感覚で食べられるサプリも販売されている。日本では、ベジタリアンの子供たちの数についてデータが少ないようだが、米国では今後も増える傾向にあると、どの調査でも同様の見解であった。
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