私達の活動・工夫次第では温暖化や大気を冷やすことができると言われているが、逆に悪影響を及ぼす可能性があることを示唆した調査結果が発表されている。その一つが大量の灌漑による大気の冷却効果である。一般的には、大きな灌漑設備による放水によって、大気中の太陽熱を吸収し、水を蒸発させることによって大きな冷却効果があると言われているが、JOURNAL OF GEOPHYSICAL RESEARCHに公表したデータによると、その効果は非常に限定的であり、一瞬のことであるという調査結果を発表している。
アメリカの農場では、スプリンクラーのような小型の可愛らしいものではなく、センターピボット(以下の写真)と呼ばれる半径1km範囲でも水をまくことができる機械を導入している所が多い。こうした巨大なセンターピボットを導入している農家は全米で25万ヶ所もあり、既に地下の水資源が枯渇している所は米国だけでなく、世界各地で発生しており深刻な問題の一つである。<関連記事「IT技術により巨大農場のエネルギー消費を削減する(M2M Communications社)」>
今回の調査結果では、実際に灌漑による放水は地球レベルでの気候変化にほとんど何も影響を与えないと主張している。どちらにしても、どの地域の気候変化が大きいのか、正確な地域的分布図が必要であり、灌漑の効果にも注目しなければならない。大量に使用する農業用水に対して、循環型農業や環境保全を求められる現在の農業では、水の使用量を削減する効率的な栽培技術と、大きな冷却効果のある技術が将来的には必要となるだろう。
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