微細藻類ユーグレナを使用した肥料、収穫量の増加・作物鮮度の低下を抑制する可能性を示唆

株式会社ユーグレナは、微細藻類ユーグレナを肥料として利用することにより、作物の収穫量が増加し、また、収穫後の作物鮮度の低下が抑制される可能性を示唆する研究結果を確認した。

またこの発表に合わせ、このたび開発中のユーグレナ入り有機化成肥料のモニター試験に参加する農家様を募集する。


■背景
当社はこれまで、ユーグレナの新規用途開発の一環として農業分野でのユーグレナ利活用に取り組んでおり、ユーグレナ液体肥料の試作※1やユーグレナ培養土のテスト販売※2を行ってきました。

この度、ユーグレナの農業分野における更なる利活用や機能を追求することを目的に、小橋工業株式会社と全農アグリウエスト株式会社とともに肥料の共同研究を実施しました。

※1 2020年7月6日リリース https://www.euglena.jp/news/20200706-3/
※2 2020年7月9日リリース https://www.euglena.jp/news/20200709-2/


■研究結果
当社が2021年に佐賀市に開設した「サステナブルテック・ファーム」※3において、ユーグレナを配合した有機化成肥料の効果検証のための栽培テストを行いました。その結果、ユーグレナを含まない有機化成肥料と比較して、ユーグレナを含む有機化成肥料では野菜(コマツナ、ホウレンソウ)1株あたりの可食部重量の増加が確認されました(図1,図2)。本検証は1期のデータになります。

微細藻類ユーグレナを使用した肥料、収穫量の増加・作物鮮度の低下を抑制する可能性を示唆
また、ユーグレナが土壌や作物に与える影響の網羅的検証プログラム※4の一環として、収穫後の野菜(コマツナ)を7日間冷蔵保存して重量減少を測定した結果、化成肥料に加えてユーグレナを施肥した区では、ユーグレナを含まない化成肥料や牛糞や鶏糞を使用した有機肥料と比較して、コマツナの重量減少率が低下し、水分などの揮発成分の蒸発が抑制される傾向を確認しました(図3)。

この結果から、ユーグレナを作物栽培の肥料として利用することにより、収穫後の作物鮮度の低下を抑制する可能性が示されました。

なお、本検証は2期に渡り効果を確認しており、成果に関する特許出願を完了しています。
微細藻類ユーグレナを使用した肥料、収穫量の増加・作物鮮度の低下を抑制する可能性を示唆
上記のとおり、ユーグレナの使用により収穫量の増加や収穫後の作物鮮度の低下を抑制する可能性が示唆されたため、このたびユーグレナ有機化成肥料のモニターを募集し、さらなる検証を進めてまいります。


※3 2021年4月26日リリース https://www.euglena.jp/news/20210426-2/
※4 内閣府 戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)「スマートバイオ産業・農業基盤技術」(管理法人:農研機構生研支援センター)「持続可能な循環型社会を実現する『農業環境エンジニアリングシステム』の開発(研究代表:市橋泰範)」の支援を受けて実施


『ユーグレナ有機化成肥料』の詳細
品名:ユーグレナ有機化成肥料
内容量:15kg

微細藻類ユーグレナを使用した肥料、収穫量の増加・作物鮮度の低下を抑制する可能性を示唆
■商品特性
・有機化成肥料に特殊肥料であるユーグレナを配合した、特殊肥料入り指定混合肥料
・原料は、植物油かす類、硫酸アンモニア等
・主な成分は、窒素8%、リン酸8%、加里8%
・ユーグレナの作用により作物の生育を促進させ、収穫量を増加させる可能性があります
・即効性の化成、緩効性の有機を程よく配合した粒状肥料で、作物全般にご使用いただけます
・コマツナでの植害試験により安全性を確認しています(全植物の生育を担保するものではありません)


<微細藻類ユーグレナ(和名:ミドリムシ)について>
ユーグレナは、ワカメや昆布、クロレラと同じ藻の一種で、動物と植物の両方の特徴を持っており、ビタミン、ミネラル、アミノ酸、不飽和脂肪酸など59種類の栄養素をバランスよく含んでいます。

なお、ユーグレナ特有の成分でβ-グルカンの一種であるパラミロンは、近年機能性についての研究が進み、食品や化粧品などのヘルスケア分野などでの活用が期待されています。