都市農業技術で世界の先端を行くオランダ。AVFサミットから考える持続可能な農業④

太陽光利用型植物工場では世界NO1.の施設面積を誇る小国オランダ。日本だけでなく、世界中で普及しているPriva社をはじめとするオランダの生産システムだが、今後は人口爆発と都市人口の集中が予想される「アジア・アフリカ」地域にて、今までの植物工場ノウハウの応用と新たなエネルギー循環モデルの構築を目指している。

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1. 農業技術で世界を席巻する小国オランダ

 標準的なチーズバーガー1個の生産には、約2,700リットルの水が必要とされる(*1)。チーズバーガーの原料となる小麦、肉牛、その飼料となるトウモロコシなどの生産に膨大な水利用が求められるためである。

もちろんこれはあくまで一例であり、全ての食品は例外なく大量の水資源の賜物である。

こうした事情から、食品輸入による水使用節約効果を示す「バーチャル・ウォーター」なる単語が誕生し、食品の貿易を「水の争奪戦」と見る傾向が国際的に強まってきている。


この「水の争奪戦」において、やや独特な存在感を示しているのがオランダである。

都市農業技術で世界の先端を行くオランダ。AVFサミットから考える持続可能な農業④
オランダでは民間企業・政府・学術研究機関らが連携して、植物工場技術の開発に取組み、農業用水の節約技術における世界最先端の地位を確保している。

このことは、農業用水が世界の水使用の約7割を占めているために、世界の「水の争奪戦」において、小国オランダが重要な役回りを果たすことを可能にする。

「食糧の争奪戦」においても、上記と同様に、オランダは種苗や栽培関連の技術力を通じて大きな存在感を示している。


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投稿者プロフィール

八隅 裕樹
八隅 裕樹
・神戸大学経営学部 卒(2012年)
・兵庫県信用農業協同組合連合会 入会(2012年~現在)
・コロンビア大学ビジネススクール 客員研究員(2017年~現在)

【資格】
・中小企業診断士 ・応用情報技術者

【研究】
・農業、食品産業 ・農業金融、協同組合金融 ・金融・経済史