米国農務省の環境制御型農業(CEA)戦略。AVFサミットから考える持続可能な農業①

1. 垂直農業協会による「AVF Summit 2017」

 米国を始めとする世界各国の政府機関が集積する行政都市ワシントンD.C.では、毎年、都市農業に関する重要な会合が開催される。

都市農業関連企業、行政の都市計画担当者、各種研究機関、各種政府機関などが集まり、それぞれの経験・見通し・アイデア等を共有することを目的として、垂直農業協会(Association for Vertical Farming)が主催する「AVF Summit」が、それである。

● ニューヨーク市にて開催された都市農業イベント「NYC Agtech Week 2017」の報告レポートは こちら

今年度の会合となる「AVF Summit 2017」は、2017年9月22日にコロンビア特別区大学にて開催された。

米国農務省の環境制御型農業(CEA)戦略。AVF Summit 2017から考える持続可能な農業①コロンビア特別区大学[筆者撮影]


この前週に開催された「NYC Agtech Week 2017」と比較すると、行政機関や政治団体、ロビイストなどの姿が目立つ政治性の高いイベントと言え、その性質に相応しく、米国農務省飲食農業研究所(*1)の堂々たる基調講演と共に幕を開けた。


*1: National Institute of Food and Agriculture, USDA


2. 米国農務省飲食農業研究所の基調講演

 米国農務省・飲食農業研究所のディレクターであるS.ラマスワミー氏の基調講演は、米国農業の難題を列挙するところから開始された。

気候変動、土地と水の制約、都市への人口移動(*2)、環境の荒廃(*3)、所得や食事の変化、紛争と移民の増加、貿易とグローバリゼーション、健康意識の拡大、非科学主義の台頭などについての懸念を述べ、特に重大な課題として「(肥満化の抑制を含む)国民の栄養状態の改善」と「持続可能な農業の実現」をあげた。

*2: スラムの増加などの問題を引き起こす。
*3: 土壌の浸食など。


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投稿者プロフィール

八隅 裕樹
八隅 裕樹
・神戸大学経営学部 卒(2012年)
・兵庫県信用農業協同組合連合会 入会(2012年~現在)
・コロンビア大学ビジネススクール 客員研究員(2017年~現在)

【資格】
・中小企業診断士 ・応用情報技術者

【研究】
・農業、食品産業 ・農業金融、協同組合金融 ・金融・経済史