国立科学博物館など、茨城県特産の赤ネギ品種「ひたち紅っこ」から新しいアントシアニンを発見

独立行政法人国立科学博物館は、茨城大学、茨城県農業総合センター、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構、岩手大学との共同研究により、茨城県特産の赤ネギ品種‘ひたち紅っこ’から新しいアントシアニンを同定した。

図1:茨城県特産赤ネギ品種「ひたち紅っこ」
国立科学博物館など、茨城県特産の赤ネギ品種「ひたち紅っこ」から新しいアントシアニンを発見
さらに、このアントシアニンを含む赤色の部分(葉鞘 ようしょう)の抗酸化活性を測定したところ、従来の白ネギの8倍以上であり、また同時に総ポリフェノール含量も2倍以上であることも判明し、学術誌(園芸学研究電子版)で公表された。

これは、茨城県特産の野菜に食品の機能性の面から一層の価値を与える成果であり、今後の赤ネギの生産・流通拡大に繋がることが期待される。


研究の背景
赤ネギは葉鞘部が鮮やかな赤色を呈する長ネギで、茨城県で明治時代より県北部城里町(旧桂村)圷(あくつ)地区で独自に栽培されてきた。

茨城県農業総合センター園芸研究所では、この在来系統をもとに、より安定的に発色し、在来系統よりも栽培しやすい品種、‘ひたち紅っこ’ を育成し、2007年に品種登録した。

近年では、圷地区以外でも茨城県石岡市を中心に栽培されており、茨城県独自のネギ品種として生産増大が期待されている。また、ネギの仲間は最近の健康志向から、抗酸化性など、高い機能性が注目されている。


研究の内容
アントシアニン色素はこれまで植物から700種類以上が報告されており、ブルーベリー、赤ワインなどで多くの機能性が報告されている。またタマネギなどの野菜でもフラボノイドが機能性物質として多く含まれる。

本研究では、茨城県特産の赤ネギ品種‘ひたち紅っこ’から4種類のアントシアニンと5種類のフラボノイド成分を分離し同定した。それらの成分のうち、もっとも多く含まれているアントシアニンは、これまで自然界で報告されたことのない新しい色素であることが判明した(図2)。

図2:構造決定された新規のアントシアニン(シアニジン 3-O-(3ʺ-アセチル-6ʺ-マロニル)-グルコシド)
国立科学博物館など、茨城県特産の赤ネギ品種「ひたち紅っこ」から新しいアントシアニンを発見
また、高い抗酸化活性が知られているフラボノイドの一種であるクェルセチンの配糖体が高濃度に含まれてた。さらに、‘ひたち紅っこ’の赤色の葉鞘部と、従来の白ネギの葉鞘部の抗酸化活性をH-ORAC法で比較したところ、‘ひたち紅っこ’の活性は8倍以上であることが示され、抗酸化食品としての有用性が明らかになった(図3)。


図3:赤ネギ品種‘ひたち紅っこ’および白ネギ品種‘夏扇パワー’の地上部および地下部における総ポリフェノール含量とH-ORAC 値
国立科学博物館など、茨城県特産の赤ネギ品種「ひたち紅っこ」から新しいアントシアニンを発見
≪発表論文≫
表題:茨城県特産赤ネギ品種‘ひたち紅っこ’に含まれるフラボノイドの同定と抗酸化活性評価
著者:水野貴行・中根理沙・貝塚隆史・石川(高野)祐子・立澤文見・井上栄一・岩科司
掲載紙:園芸学研究
(一般社団法人園芸学会が出版する和文雑誌、電子版は2020年9月30日付)
URL:https://doi.org/10.2503/hrj.19.237