ロシアのリアット社は、完全人工光型植物工場にて、トマトやキュウリなどの果菜類の栽培を本格化させる。栽培用の光源では、植物工場向けLEDソリューション開発を行う「シグニファイ社」が協力している。
同社が運営する植物工場(3,800㎡)は現在、トマト、キュウリの果菜類のほか、19種類の葉野菜を生産している。マーケティング・販売テストも同時に行われており、施設は、ロシア・イヴァノヴォ中心部に位置しているため、大きな需要のある都市部への配送時間も短縮できる。
同社では、2019年から実証研究をスタートさせ、完全人工光型の植物工場と太陽光を利用した施設栽培との収量比較を実施してきた。
完全人工光型植物工場において、葉野菜とは異なり、果菜類には強い光と高い技術ノウハウが必要となる。植物の背丈が大きくなるために、光の照射角度や性能も重要となる。
栽培施設では、赤・青のLED光源をメインとしながらも、自然光に近い波長にするために白色LEDなど、複数の異なるLEDを導入して栽培している。また、受粉については、一般的な施設栽培と同様に「マルハナバチ」を使用している。
植物の背丈が低く、多段式が行いやすい「イチゴ」については、人工光型植物工場にて生産を行っている企業が現れているが、トマトの商業用施設は世界でも非常に稀。写真のように、施設内では3~5メートルもあるトマトを栽培・収穫している。
同社によると、自然光と異なり、時間帯や季節によって栽培環境が大きく変化することなく、最適な栽培環境を常に維持することで、高品質な野菜を安定して収穫できる点が強み、だと主張している。
また栽培・販売実証の結果、集品率・歩留り率も高い水準にて維持することができ、収穫した全ての商品を高値で販売することができている。
今後の計画では、販売を通じて葉野菜の需要も大きいことから、新たな施設として700m2の施設拡張を行っていく、という。
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