住友商事株式会社は、欧州住友商事会社を通じて、イスラエルのアグリテック企業であるCropX Technologies Limited(CropX)に出資参画した。本件は、欧州住友商事におけるR&D投資支援制度を通じたスタートアップ投資となる。
世界人口は現在の70億人から2050年には約100億人に達し、必要となる食糧は70パーセント程度増加すると推定されています。一方で、農業用地や水資源は減少している上に、農業従事者の高齢化も進行しています。
増加し続ける食糧需要に対応するために、農業の生産性向上や効率化が急務となっており、農業分野でのデジタル化の動きが加速しています。
CropXは「The Internet of Soil」をビジョンとして掲げています。農地に埋設する土壌センサーから得られる地中の温度や湿度、電気伝導性などの情報をリアルタイムで測定し、地質や気候などの情報と共にビックデータ化し、独自のアルゴリズムによる分析を加えた上で、農家に対し灌漑や施肥の適正化などのデジタルアグロノミーサービスを提供します。
農作業の最適化により、収量の向上、資材費や人件費の削減、水資源の抑制などが可能となり、米国アリゾナ州で実施したトライアルでは、灌漑用水を40パーセント削減しながらも、収穫量は10パーセント向上させるという成果をあげています。
CropXは、現在、米国、カナダ、メキシコ、南アフリカ、オーストラリア、タイなど世界40カ国で事業を展開しています。
住友商事グループは、肥料、農薬、農業機械、食料等の農業周辺ビジネスを世界44か国で展開しています。本件を通じて、CropXの事業成長に加え、CropXの保有する技術と既存ビジネスを掛け合わせることで、ビジネスの高度化を目指します。また、今後も革新的な技術を保有する企業との連携を通じて、社会のニーズの変化を捉え、世界の産業発展に寄与していきます。
※ 欧州住友商事におけるR&D投資支援制度:
欧州におけるイノベーション(革新技術・サービス・ビジネスモデル)の担い手であるスタートアップ企業に対して、機動力を持った出資を実行すべく、2018年1月に導入した社内制度。
※ デジタルアグロノミーサービス:
灌漑、地質、土壌、病害虫、雑草、天候などに関する様々なデジタルデータを活用して、作物栽培に必要なアドバイスを包括的に提供するサービス。
■会社概要
会社名 : CropX Technologies Limited
所在地 : イスラエル ネタニア
設立年 : 2014年
従業員数 : 約30名
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