英国政府、ハイテク農業プジェクトへ約30億円を投資。イチゴの栽培管理・収穫自動ロボットの開発も

 英国政府は6月末、AIやIoTなどの技術を導入した「ハイテク農業」への支援について、研究開発を進めるベンチャー企業やプロジェクトに関する詳細情報を発表した。

対象分野には、食料・農産物の生産性を高める技術、廃棄物を減少するような環境に配慮された技術が中心となっており、支援額は約30億円(2,200万英国ポンド)。


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支援プロジェクトには、農薬を使用せずに電気を使用して除草する「ルート・ウェイブ」、AIを活用しながら農業用の地中レーダーを開発する「チューブ・スキャン」などが含まれる。支援額は、それぞれ、約9,500万円、約5,300万円となっている。

チューブ・スキャンは、土の中にある根菜類を、AIシステムを導入した地中レーダーにて識別し、最適な収穫時期を判断するもの。現在は、主にジャガイモ収穫のために実証が行われている。

その他にも、大規模農場の穀物を対象とした特定の雑草だけを識別する「AIスクープ」にも、約1億4,000万円を支援している。

農薬・除草剤を使用しない。電気で雑草を根こそぎ枯らす「ルート・ウェイブ」

ルート・ウェイブは、地上に生えている植物を電気刺激で焼き切ることで、根の部分まで伝わり、農薬・除草剤を使用することなく、雑草を枯らすことができる。


持ち運び可能な小型商品もあるが、現状では、除草作業に少し時間がかかるようだ。今後は、AIや画像診断システム、自動トラクターなどと融合させることで、大規模な農場でも効率よく除草できるシステムを開発していく、という。

英国政府、ハイテク農業プジェクトへ約30億円を投資。イチゴの栽培管理・収穫自動ロボットの開発も

全自動でイチゴを栽培管理・収穫するシステム開発へ

今回の支援プロジェクトには、イチゴ農場の完全自動化に関する研究開発にも、約1億6,000万円を支援している。日々の栽培管理から収穫までを全てロボットが行うシステムを想定しており、露地やハウス施設など、様々な栽培方式に対応していく。

英国政府、ハイテク農業プジェクトへ約30億円を投資。イチゴの栽培管理・収穫自動ロボットの開発も英国政府、ハイテク農業プジェクトへ約30億円を投資。イチゴの栽培管理・収穫自動ロボットの開発も
現時点では、試験レベルではあるが、それぞれの作業を行うデモロボットまでは開発が進んでおり、一部の作業だけを行うイチゴ管理ロボットは販売も行われている。今後は、研究開発に大型資金を投入し、イチゴ栽培の全自動ロボットに関する、商業レベルでの導入を目指す。

英国政府では、2027年までにGDPの約2.4%を、こうした最新技術の研究開発に充てる戦略を発表している。今後も、食料や環境、エネルギー分野などのハイテク技術への投資を加速させていく計画。

その中には、すでに資金援助を行っている、植物工場ベンチャーも含まれており、日本や米国だけでなく、英国市場からも有望な農業ベンチャーが次々に生まれてくるだろう。