福島大学は「食」と「農」を繋ぐ学問を福島から発信することを目的とし、新たに「農学群食農学類」を2019年4月に開設する。
福島大学は「地域と共に歩む福島大学」を表明し、実践してきましたが、そこには東日本大震災の被災地域と共に歩むという思いも込めてきました。
食農学類設置は、福島県農業の復興だけではなく「日本の新しい農業」の可能性を福島から発信していきます。そのためには、科学的なエビデンスにもとづく冷静な分析力と地域の将来に向けた温かい心「Cool Head, Warm Heart」が重要と考えます。
農学群食農学類Webサイト: http://www.agri.fukushima-u.ac.jp/
■食農学類設置の目的について
農畜産物の生産から食材の加工・流通を経て食品の消費までを相互に作用する一つの体系(フードシステム)としてとらえ、生産や加工、消費の現場と向き合いつつ大学での教育と研究を進めていきます。
このようなほ場や加工場と大学の研究室をつなぐような教育研究は農学の原点でもありますが、科学や技術の先鋭化や細分化が進む現代社会においては一つのチャレンジでもあります。
近代的な食と農の関係性を基本とするフードシステムの教育研究を進め、専門人材の育成と研究・技術開発を通した地域と社会への貢献を目指しています。
■食農学類の概要について
「ポピュラーカルチャー」とは、いまの時代に広く社会に受容、流通される性質のもの。本学部では、技術の習得だけでなく現代社会とそこに生きる人間に対する理論的考察も学びます。
単なる技術者育成にとどまらない、新しい文化を創造するクリエイターを養成します。
【農学群 構成】
食農学類(定員100名)
・食品科学コース
・農業生産学コース
・生産環境学コース
・農業経営学コース
<食品科学コース>
フードシステムの「食べる」ことの中でも、加工して食べる段階の教育研究が中心となっています。
「食べる」は食品の摂取から、消化と吸収、体内輸送と動態、組織・器官・細胞への作用、全身での生理作用までを含む多様な生命現象であり、学ぶことは多いです。
優れた食品の製造について知識・技能のポイントを修得するとともに、地域の食の伝統的な強みを活かす筋道を具体的に理解している人材の育成を目指します。
【想定される進路】
食品関連企業、化学メーカー、化粧品関連会社等
<農業生産学コース>
作物栽培に関する最新の技術や知見を駆使して農業生産、特に作物生産、食料生産、栽培資源利活用、栽培環境の諸問題を解決するための専門知識、技術を修得させ、新規栽培品種の開発と既存品種の見直し、栽培技術の革新、病害虫の農業被害管理に関する技能の習得を目指します。
【想定される進路】
農業関連企業、流通企業、観光・宿泊企業等
<生産環境学コース>
森林・農地・水環境等の生産資源、ならびに農業土木や農業機械といった生産活動を管理・運用するシステムに関わる科目を通じて、生産環境の保全・活用と、これに付随する問題群を解決するための専門知識や技術を修得します。
本学類の他コースの科目も履修することで、多角的視野から生産環境を探求し、その保全と活用を実践できる人材の育成を目指します。
【想定される進路】
金融、流通企業、観光・宿泊企業等
<農業経営学コース>
農林業を営む個別経営体の構造や行動を捉える農業経営学を中心として、食料の生産から加工・流通を経て消費に至るプロセスの全体像、すなわちフードシステムおよび地域・農村社会や地域づくりの領域をカバーしながら、それらに関わる問題群を解決するための知識と人文・社会科学的な技能を修得します。
そこではフィールドワークの方法論に基づく現場立脚型のアプローチを重視します。また本学類の他コースの科目を履修することで多角的な視点も養いながら、これからの農林業や食品産業、地域農村社会の現場を担える人材の育成を目指します。
【想定される進路】
バイオマス関連企業、土木・建設企業、情報・通信関連企業
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