多摩市、1日なら生食でも食べられる東京産アスパラガスが収穫開始

 東京都多摩市では、2016年8月に明治大学で行われた「新世代アグリチャレンジャー育成講座」をきっかけに、アスパラガスの「採りっきり栽培®」への挑戦をスタートし、試験栽培も含め約2年の月日を経て、本年3月中旬に本格的な収穫を開始した。

多摩市、1日なら生食でも食べられる東京産アスパラガスが収穫開始
多摩市では、2016年の上記「育成講座」を経て、2017年より多摩市農業委員と多摩市内4軒の農園でアスパラガスの「採りっきり栽培®」の取り組みをスタートし、明治大学の協力を得ながら2018年には株数を6倍に増やし、さらに2軒の農家さんも栽培に加わり、農地・収穫量の拡大を図ってきました。

2017年から取り組んでいるのは、青木農園、太田農園、小形農園、小暮農園の4軒。その年は試験的だったこともあり、1つの農園で栽培したのは30株ほどでしたが、どの農園でもかなりの量が収穫でき、小暮農園においては大小合わせて700本ほどを収穫した実績があります。

都市近郊栽培なので地方産の輸送モノとは根本的に違い、アスパラガスの根元を切って下を向けると水が滴るほどで、収穫してから丸1日は土から出ている部分すべてが生で食べられるほどの新鮮さを誇ります。

今年は本格的な収穫を迎え、また農園数も増えたことから収穫・販売量も昨年より拡大する見通しとなっています。


■アスパラガスの「採りっきり栽培®」について
通常、収穫まで3年かかるアスパラガス栽培を1年に短縮した画期的な新栽培法の「採りっきり栽培®」

明治大学農学部農学科の野菜園芸学研究室×パイオニアエコサイエンス株式会社×東京都多摩市(他2市)による共同開発!

アスパラガスは野菜のなかでも常にベスト10に入る人気野菜ですが、栽培に手間暇がかかり、農業従事者の作業負荷が大きく、取扱いが難しい野菜となっています。

同研究室ではこうした栽培現場の問題を解決すべく、アスパラガスの新しい栽培方法「採りっきり栽培®」を開発し、当年定値でこれまでにない日本最大級の成長を実現させています。


「採りっきり栽培®」と名付けられた新栽培法は、明治大学の元木准教授のアイデアをもとに開発され、従来の露地栽培では苗を植えてから本格的な収穫まで3年ほどかかっていたのを1年に短縮、病虫害にも強い特徴があります。

※「採りっきり栽培Ⓡ」はパイオニアエコサイエンス株式会社の登録商標です。


■「採りっきり栽培®」の利点
通常10年以上、1つの苗で収穫が続けられるアスパラガス。1年で収穫を終了してしまうのがもったいない気にもなりますが、10年の間、病害虫の防除をし続けるのは大変で、年を追うごとに病気にもかかりやすくなるのも現実。以下にその他のこの「採りっきり栽培®」の利点について紹介します。


<病気になりにくい>
若い苗なので元気。苗が丈夫だと病気や虫がつきにくく、農薬や消毒が少なくて済みます。しかも1年で株を終わらせるので、仮に病気や虫にやられて失敗しても、次の年に場所を変えてリベンジできます。


<収穫量が増える>
2年目以降を考えずに春先にできたアスパラガスを全て収穫できるので収穫量が増えます。
なので、アスパラガスの春芽は全国平均収穫量が450㎏に対して、この栽培法だと1t近い収穫が見込めるので収穫量が2倍以上に!


<収穫が終わり次第、すぐに他の野菜の栽培が可能>
アスパラガスを栽培すると、10年間ほどアスパラガスにその畑が占領されてしまうのが通例ですが、この栽培法であれば、同じ畑で輪作が可能です。
これまでの試験結果から、収穫が終わり次第、人参などを播種できます。