住友商事グループでは、イスラエルのアグリテック(注1)企業であるA.A.A Taranis Visual Ltd.(Taranis社)に出資参画した。世界中の農業現場では、自然災害(天候、疫病、害虫など)に起因して収量が減少するリスクと日々向きあっています。
疫病や害虫による被害だけで毎年数千億ドルもの損失が出ているとも言われています。また、気候変動リスクも顕在化しており、世界中の農業生産者にとって不規則な自然災害に備える必要性は増大しています。
Taranis社は、2014年に創業したアグリテック分野のスタートアップ企業です。自社開発した精密農業インテリジェンス・プラットフォーム(注2)を農業生産者に提供し、農作物の栽培に対するリスク予測・予防ソリューション(デジタルクロップドクターサービス)を展開しています。
Taranis社は、農地の上空を飛行する飛行機に搭載したカメラからのリモートセンシング(注3)を利用し、超高精度画像を高速取得解析する革新的な技術(0.5ミリメートル/ピクセル)を有します。
さらに独自の生物学データとディープラーニング技術を用い、画像情報以外のデータ(天候、土壌情報等)も統合解析することで、リアルタイムで農作物のストレス状況を把握し、疫病の予測および対策案の提示までも可能としました。
デジタルクロップドクターサービスは、農業生産者の意思決定に必要となる情報(発芽状況・雑草発生状況・害虫発生状況・疫病害虫被害状況)を基にアドバイスを提供し、最大7.5パーセントの収穫率向上をもたらします。既に世界の大穀物生産地である北米、南米、ロシア、ウクライナ等で、サービスを開始しました。
(注1):アグリテック(agritech)とは、新しい農業の形で既存の農業分野に新しくITテクノロジーを投入していく動きを指す。
(注2):精密農業インテリジェンス・プラットフォームとは、PC/タブレット/スマートフォン画面上で、農業に関する各種意思決定アドバイスを受けられるシステム。
(注3):リモートセンシングとは、精密農業を実現する技術の一つで、非接触・非破壊で対象物の形状・性質などを測定・解析する技術。
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