テックファームホールディングス株式会社は、本年6月より、株式会社ジャパン・アグリゲート(JAG)と業務提携し共同で、さくらんぼや桃、葡萄などプレミアム農産物の海外向け販路拡大を支援するAIデータプラットフォーム事業を開始する。
将来的には、輸出の流通データを蓄積・分析し、マーケティングデータの提供を目指し、第1フェーズでは、農産物の等級分けをする「選果(センカ)」をAIと画像認識でサポートするシステム開発に着手しています。
海外では、日本のプレミアム農産物は非常に人気があり、国内より高値で販売されることが一般的です。このような状況を受けて、JAGなどの流通会社は、農家から仕入れた果物を独自の基準で撰果し、香港やシンガポールなど、需要が高くかつ輸出条件が有利な国へ直接販売しています。
ところが、撰果作業のほとんどが経験に基づく人手による作業であるため、処理量の限界、不明確な等級基準を理由に輸出量を伸ばせないことが課題となっています。
そこで、第1フェーズとして、JAGの撰果ノウハウをAIでデータ化し、画像認識で見た目の仕分けをサポート、その他複数のデータを組み合わせ、海外のニーズに合わせたレベル分けをします。
今後は、撰果データに加えて、時期や生産農家ごとの出荷時の状態、仕入額や販売価格、運搬後の追熟や商品劣化など、国内から海外まで一気通貫したデータを追加で蓄積します。
さらに一定期間システムを運用した後に、AIデータプラットフォームを利用する流通会社を拡充。
流通会社同士が競合をしない仕組みでデータを共有し、仕入れ・販売の適正価格や需要に応じた仕入量の目安を形成することで、輸出数量の増加、結果として生産農家の利益率向上、収益の安定に貢献します。
また出荷価格がより早くわかることから生産農家への決済期間が短縮され、生産農家のキャッシュフローを改善させることも目指します。
なお、流通会社が取扱量に応じて一定割合の利用料を支払う仕組みで、2020年にはプラットフォームの総流通量200億円を目指します。
【ご参考】果物の海外流通の現状とJAGの取り組み
現在国内の農産物の多くは、地域や産品ごとに異なる不明確な選別作業を経て市場に出荷されており、その地域の等級基準や基準数量に満たないが故に流通しない商品も数多くあります。
政府は農林水産物の輸出量増加を成長戦略に掲げており、2019年の輸出額目標を1兆円に設定していますが、2017年の実績は8割程度にとどまっているのが現状です。
ジャパン・アグリゲート(JAG)は、糖度やブランドなど国内とは異なるニーズを持った海外消費者(主にシンガポール・香港などのアジア諸国)へ日本のプレミアム農産物を輸出し、農家の利益拡大に貢献しています。
また、生産農家の販売チャネルを広げる取り組みとして、本年4月から新宿駅にて開催されている、ルミネアグリマルシェの運営にも参画しています。
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