理化学研究所 環境資源科学研究センター 植物ゲノム発現研究チームでは、お酢の主成分である酢酸を与えることで植物が乾燥に強くなるメカニズムを発見した。
従来、植物を乾燥や干ばつに強くするには、遺伝子組み換え植物の利用が主流でしたが、遺伝子組み換え技術に頼らずに、植物の乾燥耐性を強化する技術の開発が望まれていました。
本研究グループは、乾燥ストレス応答時の植物体内の代謝変化を調べ、乾燥に応答して酢酸が積極的に作り出されていることを発見しました。
また、この酢酸合成開始には植物のエピジェネティック因子が活性化のスイッチとして働いていることも明らかにしました。
さらに、酢酸を与えることで、さまざまな植物で乾燥耐性が強化されることや、それが傷害応答に関わる植物ホルモンであるジャスモン酸の合成とシグナル伝達を介していることを明らかにしました。
遺伝子組み換え植物に頼らず、植物に酢酸を与えるだけで、急激な乾燥や干ばつに対処できる簡便・安価な農業的手法として役立つことが期待されます。
■戦略的創造研究推進事業 チーム型研究(CREST)
・研究領域:「二酸化炭素資源化を目指した植物の物質生産力強化と生産物活用のための基盤技術の創出」
研究総括:磯貝 彰(奈良先端科学技術大学院大学 名誉教授)
・研究課題名:「エピゲノム制御ネットワークの理解に基づく環境ストレス適応力強化および有用バイオマス産生」(グラントナンバーJPMJCR13B4)
・研究代表者:関 原明(理化学研究所 環境資源科学研究センター 植物ゲノム発現研究チーム チームリーダー)
・研究期間:平成25年10月~平成31年3月
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