サカタのタネ、多品目に対応した半自動播種機を発売。植物工場にも利用可能

株式会社サカタのタネは、多品目の種子を効率的にまける高性能半自動播種機『ハシュラクダ』を2016年1月13日から発売する。野菜から花まで多くの植物に対応できる汎用性と、だれでも簡単に扱える操作性のよさを兼ねそろえているのが特徴。

育苗現場の作業時間の軽減や人件費など生産コストの削減に貢献できる、という。

サカタのタネ、多品目の種子を効率的にまける高性能半自動播種機を発売
『ハシュラクダ』は真空状態を作り出して種子を吸い上げてまく真空播種機の一種。従来製品と比べて、操作性やメンテナンス性を改良しています。吸い上げた種子を専用のチューブを使い播種用トレーのセル(小穴)に誘導することで、自動的に種をまくことができます。

手のひらサイズの「播種板」と呼ばれるパーツを取り替えるだけで、さまざまなサイズの種子に対応できます。そのため少量多品目の種子を少ない人員で素早くまくことに適しています。

1シーズンに多数の品目を扱わなければならない育苗業者はもちろん、自前で苗を作っている大規模農家や生産組合、農業法人、植物工場にも向いています。

大きさは高さ113cm、長さ120cm、幅42cm。移動や取り扱いが容易で、老若男女だれでも扱えます。また、経験の浅い初心者でも1~2日で習熟することができます。


当社の試算では、『ハシュラクダ』は1~2人の人員で扱うことができて作業性もよいため、処理スピードが遅い手まきや、スピードは速いものの4~5人の人員が必要で導入コストと維持・人件費が高くなる大型の播種機に比べて、トレー1枚あたりの播種コストが抑えられます(別表参照)。

また当社の育苗用培土「プラントプラグ」などの種まき資材とあわせて使うことで一層の作業軽減が図れます。価格はオープン、実勢予想価格は1台150万円(コンプレッサーは別売り)です。全国の当社特約店などを通じて販売します。

サカタのタネ、多品目の種子を効率的にまける高性能半自動播種機を発売
■だれでも使えて作業もメンテナンスもラクダ
播種機には用途によりさまざまなタイプがあります。大規模な育苗業者や生産組合で使われている大型播種機(ドラムシーダー)、手作業で使われるハンドシーダーなどが一般的です。ドラムシーダーは時間あたりの播種効率が非常に高いですが、長さ20メートルを超すような大型の設備です。

そのためコストやスペースの関係上、単一品目を大量に生産する利用に適しています。ハンドシーダーは効率性の観点から、直売所レベルの小規模な農家での利用が主です。

そのため小~中規模の育苗業者や生産法人からは、生産規模に合うちょうどよいサイズの播種機が望まれていました。『ハシュラクダ』はそうしたニーズに応えています。


基本的に種子を吸い上げ、まくだけのメカニズムのため作業性に優れています。年齢や性別、習熟度を問わず誰でも簡単に使える高いユーザビリティの実現を目指して設計されています。

電子部品が使われておらず、シンプルなメカニズムのため、メンテナンス性にも優れており、維持管理費も抑えられます。なお名前の由来は、ラクダに似た外観と「楽だ」をかけたものです。「タキゲン製造株式会社」との共同開発です。


■国内の苗市場と『ハシュラクダ』が提供できる価値
農家の高齢化、リスク分散やアウトソーシングのトレンドなどを背景に、現在、国内の育苗マーケットは拡大していると推測されます。また果菜類の栽培では、より高い収量を求めて接ぎ木苗の需要が高まっています。

接ぎ木苗の生産では、台木と穂木両方の品種の播種をする必要があります。さらにその組み合わせには農家の好みが生じるため、育苗現場では、今まで以上に多様な品種を扱う必要性が出てきています。『ハシュラクダ』は少量多品目の播種に向くため、こうした利用に応えられます。

国内では定植シーズンが春に集中するため、必然的に育苗業者の業務も特定の時期に集中することになります。そのため人手不足に陥りやすく、播種のための労働力の確保は課題の1つでした。また多くのスタッフが播種作業に追われて労働過多になりがちでした。

労働量が削減でき、初心者でも使える本商品はこうした現場の課題解決に貢献する商品です。『ハシュラクダ』は大型の播種機に比べて初期費用と人件費が抑えられるため、ある程度の規模の生産組合や農業生産法人なら充分に導入できます。