三井物産は2日、えんどう豆など植物性たんぱく質を使った「植物卵」の開発ベンチャーである米ハンプトン・クリーク(カリフォルニア州)に約18億円(出資比率2.26%)を出資したと発表した。米国ベンチャーは、植物性たんぱく質を機能性と分子特性で分類したデータベース(DB)を持っており、鶏卵の代わりに植物性たんぱくを使ったマヨネーズやクッキーを開発し、米小売り大手ウォルマート・ストアーズなどを通じて販売している。
米国で“植物卵”食品ベンチャー事業に参画
三井物産株式会社は、植物タンパクの食品ベンチャー企業である米国Hampton Creek., Inc.(以下「HC社」)と増資引受契約を締結し、このほど1,500万米ドル(約18億円)の出資を完了しました。HC社が手掛けている植物タンパクは、鶏卵に替えてマヨネーズなどの食品原料として使用できる、いわば“植物卵”のような特性を備えており、「おいしく、手頃で、持続可能」な食品の原料として今後の幅広い用途が見込まれています。
世界的な人口増や中間所得者層の増加により、鶏卵や乳製品など動物タンパクの需要は今後とも拡大の一途が見込まれています。そうした中、動物タンパク生産に欠かせない家畜飼料となる穀物の栽培に要する農地や水資源には限界があり、天然の植物タンパク由来の新たな食品原料の需要は益々増加していくものと予想されています。
HC社は植物タンパクを機能特性、分子特性で分類してデータベース化し(※1)、動物タンパクを植物タンパクで置き換えた食品の開発・製造販売を行う食品ベンチャー企業で、この世界最大級の植物タンパクのデータベースを活用し、HC社は既に鶏卵の代わりに植物タンパクを使ったマヨネーズやクッキー等をウォルマートやターゲットといった米国大手小売店で販売しており、米国セブン-イレブン社にサンドイッチに使用されるマヨネーズを供給しています。また、HC社は世界最大の給食サービス企業である英国コンパスグループ社と提携し、HC社製品を供給していくことも決まっています。
三井物産はHC社への出資参画を通じ、様々な食品に使用される卵タンパク・乳タンパク等の動物タンパクを「穀物栽培→家畜飼育→畜産製品製造」の生産プロセスを経ることなく、環境負荷の少ない植物タンパクによって代替する新しいコンセプトの栄養科学分野に参入、食料増産と食の安全・安心な供給に貢献していきます。また、国内外のネットワークを活用して食品企業等と提携し、HC社の米国事業価値向上や、日本をはじめとするアジア地域での“植物卵”の事業展開を目指します。
※1 植物タンパクのデータベース化:タンパクはその種類によって、粘りやすさ、泡立ちやすさ、水と油を混ぜる力等の機能特性を持っています。また、水への溶けやすさや互いのタンパク分子の引きあう力と言った分子特性は、タンパクによってそれぞれ異なります。HC社は世の中に存在するさまざまな植物タンパクについて、これらの機能特性や分子特性を数値化した大量のデータベースを保有しています。
※ 同社によるプレスリリースより
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