中国の研究チームは11月27日、キュウリの苦味成分に関わる遺伝子の一つを特定したと発表した。この研究結果はアメリカのScience誌に掲載されており、インド原産とされるキュウリが、非常に苦味の強かった原種から、どのように食用野菜へと品種改良されてきたのか、紹介している。
研究リーダーである中国農業科学院のXinhua氏によると、キュウリはもともとヨモギのように苦味が強く、原産国とされるインドでは下剤として使用されていたのだという。
研究チームは、原種から食用までの115種類のキュウリ株に含まれる成分をそれぞれ解析し、どのような生合成経路をたどって品種改良されてきたのかを調べた。その結果、キュウリの苦味成分を引き出す「ククルビタシン(cucurbitacin)」というウリ科植物に特有のステロイドの生成に関わる9つの遺伝子が発見され、それら9つの遺伝子を制御する2つの遺伝子が明らかにされた。
つまり、苦味の生成は「BI」と「Bt」という2つのメイン遺伝子によってコントロールされており、BIは葉の苦味を、Btは果実の苦味を発現させるのだという。
またこの研究によって、通常は冷温などのストレスによって苦味を増幅させていただものが、Bt遺伝子の突然変異によって苦味のないキュウリになることも明らかになった。
ククルビタシンは野生の植物を天敵から守る役割を担っているが、ガン細胞を死滅させたり増殖を抑えるはたらきを持つことが確認されており、ククルビタシンについての研究結果が抗がん剤の開発に応用されたこともある。
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