菱熱工業、植物工場・長鮮度野菜ファクトリー事業を開始

 福井県南越前町に建設を進めていた直営工場第1号「ビタミンファーム」福井工場(完全閉鎖・人工光型、延べ床面積1417m2、総工費3.48億円)が完成し、5月1日から稼働、今後はコンビニエンスストア・スーパーマーケットとの事業化や流通業界などから参入を図る企業のトータルプランニングを請け負うなどし、3年後には同事業で10億円の売上を目指します。

本来、野菜に明確な賞味期限はありません。しかしながら、カット野菜の加工においては、事業者が色つやなどの鮮度を見ながら3日ほどで廃棄してしまうのが通常です。一方、これまで植物工場を建設するには、高額の初期投資が必要であり、また生産に要する光熱費・運営費なども相当額に上るため、新規参入を目指す企業にとって障壁となっていました。

これらの問題に対して当社では、(1)出荷時からの賞味期限を5日間程度にまで伸ばす「長鮮度野菜」の生産、(2)工場の建設から運営までのトータルコストを大幅に引き下げる「LCC(ローコスト・コンストラクション)」を可能とした次世代型植物工場を完成させ、競合他社に対する明確な優位性を確立いたしました。

当社は、三菱重工業の冷熱製品総代理店として、1948年の創業以来、空調や冷凍冷蔵、給排水衛生を中心とした建築設備の設計・施工からメンテナンスまでを一貫して行ってきました。とりわけ、食品工場や飲食施設、病院内の洗浄・殺菌システムにおける技術水準は高く、民間工事から諸官公庁工事まで幅広い施工実績を持ちます。「長鮮度野菜ファクトリー」事業は、これら当社の長年にわたるノウハウを結集させたものです。

「長鮮度野菜」を作るための4つのポイント
長鮮度野菜を作るために不可欠と当社が考え、徹底しているポイントは次の4つです。これらは車の4本のタイヤのように、どれか一つが欠けても「安心・安全でおいしい」野菜はできません。

(1)クオリティコントロール(QC)
栽培時に発生する人為的・外的トラブルを極力抑えるもの。入退所管理など衛生管理に関するマニュアルや教育指導を徹底するとともに、チップバーン(カルシウム欠乏が原因と考えられている野菜の生育障害)を的確に把握し、照明を当てる時間や培養液の濃度を調整するなどして生育障害の芽を未然に摘み取ります。

(2)定期殺菌
収穫後のアルコール殺菌、循環系統の殺菌、流水洗浄など、一定の周期を決めて殺菌・除菌作業を実施。また、微酸性電解水を用いた殺菌システムも導入しています。次亜塩素酸ナトリウムやアルコールといった従来用いられてきた殺菌剤と比べ、より安全性を確保し、コストや環境への負荷を軽減できるという特長があります。

(3)空中浮遊菌の抑制
湿度が高い植物工場内は細菌が繁殖しやすい環境にあります。また、エアコンなどからも細かい菌は繁殖します。そこで当社では、空気中の菌の発生を抑える新システムを大手家電メーカーと共同研究し、一般生菌の増殖を抑制して庫内の低菌環境を保っています。

(4)培養液の殺菌
水を媒介とする栽培においては、培養液内で菌が繁殖する危険性があります。オゾンや紫外線による殺菌では、培養液の成分自体を変えてしまう可能性があることから、当社では培養液の成分を変えずに低菌状態を保ち、野菜の生育にも影響を与えない画期的システムを開発し、「R殺菌」と命名しました。

当社には60年以上にわたって各種設備工事を通して蓄積してきたフィルターろ過、ゴミ処理、空調管理などのノウハウがあります。これらの技術を組み合わせることで、電気代を抑えるなど低コストで高い殺菌効果を得ることができます。

<会社概要>
■会社名:菱熱工業株式会社
■住所:東京都大田区南馬込2−29−17
TEL:03−3778−2114 FAX:03−3778−2115
■創業:1948年7月21日
■設立:1966年2月9日
■資本金:1億円
■売上高:75億円(平成25年9月期・関連会社含)
■代表取締役:近藤貢
■従業員:135名
■事業内容:冷熱エンジニアリング
■URL:http://www.ryonetsu.com/