理化学研究所(理研)環境資源科学研究センター機能開発研究グループのキム・ジュンシク研究員などの共同研究グループは、環境変動に応じた植物の根の伸長調節に関わる新たな遺伝子制御因子を発見した。
本研究成果は、大根やサツマイモなどの根菜類など根を利用する作物の成長促進・生産性向上につながり、植物工場や都市型農業に向けた地下部生産性の向上に貢献すると期待できます。
植物が環境に応じて根の長さを決める仕組み
今回共同研究グループは「小胞体ストレス応答(UPR)」と呼ばれる細胞内恒常性の維持機構が欠損したシロイヌナズナの変異株(bz1728)が示す、著しい根の伸長阻害を回復した突然変異体nobiro6株の分子遺伝学的解析を行いました。
その結果、伸長回復は基本転写因子複合体[2]の構成因子「TAF12b」の機能欠損によることが明らかになりました。さらに、網羅的遺伝子発現解析[3]を行ったところ、bz1728株では数百個の遺伝子の発現が上昇・低下の両方向に大きく変動するのに対し、nobiro6株では上昇方向の変動だけが通常程度に回復することが分かりました。
回復した遺伝子群の多くがストレス耐性獲得に機能することから、TAF12bは植物が感知した外部ストレスのシグナルを根の細胞の成長応答に結び付ける重要な遺伝子制御因子であると考えられます。
詳細資料
【プレスリリースPDF】理研などの研究グループ、環境変動に応じた植物の根の伸長調節に関わる遺伝子制御因子を発見
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