UCC上島珈琲株式会社と国際航業株式会社は、内閣府宇宙開発戦略推進事務局が実施する「内閣府令和3年度 課題解決に向けた先進的な衛星リモートセンシング※1データ利用モデル実証プロジェクト※2(本実証)」に共同で応募し、採択された。
プロジェクトの実施背景
気候変動による栽培環境の変化や新型コロナウイルス感染症の影響により、コーヒー栽培においても、遠隔地から農園の情報を把握することができる衛星リモートセンシング技術の活用ニーズが高まっています。
コーヒー生豆は国際的に取引されている最も高価な農作物の一つであることから、生産に関わるリスクを迅速に把握することが特に重要になります。
加えて、コーヒー栽培に必要なシェードツリー※3の存在により、生物多様性保全やCO2吸収が期待できるなど、コーヒー栽培は気候変動の緩和に貢献できるという側面もあります。
そこで、本実証では、UCCブルーマウンテンコーヒー直営農園(ジャマイカ)とUCCハワイコナコーヒー直営農園を対象として、コーヒーノキの生育診断指標の開発と気候変動緩和指標の開発を行うことで、気候変動リスクの管理と持続可能な調達の実現を目指します。
本実証成果を活用して目指す姿
UCC上島珈琲は、国際航業の衛星リモートセンシング技術を用いた本実証成果をもとに、直営農園のほか、生産農家への営農支援や、「UCCグループの責任ある調達原則※4」に基づく現地確認、地球温暖化による生産適地減少箇所の予測などに展開することを目指します。
現在、世界のコーヒーの市場規模はおよそ300億ドル(生豆取引額)と推定されています。
今後地球温暖化が進行した場合、例えば既存のアラビカコーヒーであれば生産適地は2050年までに50%に減少する可能性があると言われています。
そのため、既存の生産地をモニタリングする市場ニーズは、今後拡大していくと考えています。
UCC上島珈琲と国際航業は、現地政府や大規模生産者に対して本実証成果を用いたコンサルティングを提供するビジネスを検討し、持続可能なコーヒー産業の発展に貢献していきたいと考えています。
※1「衛星リモートセンシング」
衛星に搭載されたセンサで取得された情報を解析することを衛星リモートセンシングといい、この技術を使うと、遠隔地の農作物の品質や生育状態を把握することができます。
※2「内閣府令和3年度課題解決に向けた先進的な衛星リモートセンシングデータ利用モデル実証プロジェクト」
衛星リモートセンシングデータを活用した先進的なソリューションの効果を実証し、モデルとなる成功事例の創出を図り、その普及や横展開等による衛星リモートセンシングデータの利用拡大につなげることを目的とした内閣府公募の実証プロジェクト。
※3「シェードツリー」
コーヒーノキは強い日差しに弱いため、一緒に植えて栽培する日陰となる木のこと。
※4「UCCグループの責任ある調達原則」
UCCグループの調達に関する姿勢を示したものです。私たちの事業が長期的・持続的に発展していくためには、法令遵守はもとより、社会が求める倫理的な責任を果たしていくことが必要との思いが込められています。(2021年1月制定)
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