大塚製薬株式会社・大津栄養製品研究所は、植物由来の乳酸菌B240(*1)が抗アレルギー作用を有することを確認し、その結果を2019年10月12日に日本花粉学会第60回大会で発表した。
これにより、乳酸菌B240は、スギ花粉曝露によって軽度のアレルギー反応を示す人の緩和策として、新しい選択肢になることが期待されます。
*1 乳酸菌B240・・・Lactobacillus pentosus ONRICb0240
■発表内容要約
乳酸菌B240の死菌摂取による、スギ花粉曝露時の総括顔スケールの改善効果
~無作為化二重盲検プラセボ対照試験~
日本人の約3分の1が、スギ花粉飛散時に、くしゃみ、鼻水、鼻づまりなど何らかのアレルギー反応を発現することが報告されており、依然としてその人数は増加している。また、これらの発現により、QOLや労働生産性の低下も報告されている。
抗ヒスタミン薬やステロイド点鼻薬などの抗アレルギー薬の効果は一時的なものに限られ、一部の薬には眠気などの副作用がある。
アレルギー症状の重症度は個人によってさまざまであることから、アレルギー反応の種類と重症度に応じて適切な対応が求められており、軽い反応の場合には、抗アレルギー食品による対処が可能と考えられる。
Lactobacillus pentosus ONRICb0240(乳酸菌B240)は、発酵茶ミヤンから分離された乳酸菌である。
乳酸菌B240は、マウスパイエル板細胞を用いた評価系にて、スクリーニングした乳酸菌の中で最も高いIgA誘導能を示し、唾液IgA分泌促進作用を有することが臨床試験にて確認されている。そこで、今回、乳酸菌B240の抗アレルギー作用を評価した。
無作為化二重盲検プラセボ対照試験として、スギ花粉曝露によりアレルギー反応を示したことがある健康な男女(20~65歳)34人に乳酸菌B240を含有しているタブレットあるいは、乳酸菌が入っていないタブレット(プラセボ)を8週間毎日摂取させた。
摂取開始前、摂取4週および8週後に、試験参加者は、曝露施設にてスギ花粉に3時間曝露され、30分毎に自覚症状(鼻水、くしゃみ、鼻づまり、鼻のかゆみ、目のかゆみ、涙目、鼻紙枚数、総括顔スケール)を、日本アレルギー性鼻炎QOL標準調査票(JRQLQ No.1)を参照し作成した記録表に記入した。
その結果、乳酸菌B240の8週間摂取により、スギ花粉を3時間曝露した際のアレルギー反応や生活の支障度など全般を評価する総括顔スケールが有意に改善され、また、総括顔スケールスコアと各症状のスコアの間には、有意な正の相関があった。
これら結果から、乳酸菌B240は抗アレルギー作用を有すると考えられ、スギ花粉曝露により軽度のアレルギー反応を示す人にとって、新しい選択肢になることが期待される。
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