沖縄県の製パン会社ぐしけんは7月から、サンドイッチに使うレタスを自社生産する。旧パン工場の一部に約3000万円を投じ、レタスを栽培する野菜工場を新設。室温や栄養分を自動管理し、高品質のレタスを生産する。沖縄は高温の夏場に農産物を生産するのが難しく、今後は野菜工場で農産物を生産する動きが県内に広がる可能性がある。
野菜工場の敷地面積は約90平方メートル。4段の棚を使い、室温や栄養分、二酸化炭素(CO2)などを自動制御してレタスを栽培する。光源には太陽光の代わりに蛍光灯を活用する。1日あたりのレタス生産量は約20キログラムとなる見通しで、同社のサンドイッチに使うレタスの約半分を賄う計画だ。
同社はこれまで、夏場のレタスを本土から調達していたが、高い輸送費や鮮度低下が課題となっていた。レタス生産で野菜工場の運営ノウハウを蓄積した後、ネギや沖縄の伝統的薬草であるハンダマなど栽培品目を順次拡充する方針である。こうした薬効成分に近い効能があるとされる沖縄独自の薬草は他にもたくさんあり、レタス類の生産が多い植物工場分野でも差別化が図れることもできる。
亜熱帯である沖縄では、夏場の栽培が不可能とされる葉野菜も多い。こうした課題を解決するために水耕技術などを導入して、ホウレンソウやアイスプラント等、様々な野菜が生産され始めている。
例えば、みやこ福祉会(運営施設:みやこ学園など)では建設費2億円を投じて、水耕栽培を利用した植物工場「野菜ランドみやこ」を建設し(関連記事)、ホウレンソウを栽培している。その他、インターナショナリー・ローカルでは、栽培面積が約100平方メートルの植物工場内で、ベビーリーフやルッコラ、さらにはアイスプラント(南アフリカ原産のもの)の栽培も行っている(関連記事)。こうした植物工場や栽培技術の導入が今後、沖縄では拡大していくことが予想される。
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