施設園芸や植物工場などへのクラウド農業サービスを展開する富士通は、愛媛大学発ベンチャーのPLANT DATA JAPAN(PDJ)と、施設園芸分野におけるITを活用した農業の取り組みで協業することを発表した。光合成の活性情報や葉の大きさ、枚数などといった、さまざまな植物の生体情報に応じて最適な栽培管理が行えるよう支援するIT環境を提供する。
■背景
日本の農業栽培技術を支える篤農家は、経験や勘による暗黙知によって、高品質・高収量を実現していますが、農業先進国として知られるオランダでは、暗黙知を形式知とする試みによって、ICTによる大規模な太陽光植物工場での環境制御を実現しています。
しかしながら、オランダにおいても、植物の成育状態の見極めに必要な植物生体情報の計測は、週に1回程度の目視による観察や物差しによる測定であり、施設園芸の分野では国内外を問わず、より革新的な計測手法の確立や、それらを活用した高度な農業の実現が求められています。
■協業概要
富士通は、食・農業分野向けクラウドサービスAkisaiを2012年より提供しており、施設園芸向けには、温室内の温度や湿度などの各種データをクラウド上に蓄積し、温室内の暖房機や換気扇などの機器をコントールする「施設園芸SaaS」を提供しています。
一方、PDJは、国立大学法人愛媛大学発のベンチャー企業として、愛媛大学農学部・高山弘太郎准教授が開発した植物計測手法を活用した革新的な栽培技術の確立を目指し、2014年より植物生体情報を用いた計測・解析技術提供、コンサルティング、その他各種サービスの提供を開始しています。
協業分野の具体例として、栽培中の植物生体情報や施設内外の環境情報を計測し可視化するだけでなく、例えば特定時間帯の気温設定が適正生育の阻害要因であると分析し、自動で改善提案するなど、作物の収量・品質向上のために環境制御するシステムを提供していきます。