慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科(以下、SDM)の西山敏樹特任准教授らのグループは、全国的に増加している農業協同組合(以下、JA)の直売所に青果物を持ち込む農家の人手不足や高齢化等の問題をふまえ、この運搬を代行するシステムを構築しました。
今回、このシステムの実証実験を5月10日から16日まで、JAさがみ・グリーンセンター綾瀬(以下、GC綾瀬)で実施します。
実験では、単に運搬を代行するだけでなく、電動車輌と大型保冷剤の導入による騒音やCO2の削減、青果物の保冷とそのモニタリングを常時実施、SNSを利用した青果物の販売と鮮度情報の提供等も行います。また、農家や利用者等に評価調査も実施し、今後、農業と住民をより有効的に結び付けるため、実験システムの課題発見と改善点の整理を行います。
実証実験の概要・目的
SDMの研究グループでは、2012年度からJAさがみをフィールドとして、農業の現場の問題点を議論してきました。その結果、大きな問題点として、全国で爆発的に増加しているJAの青果物直売所へ、毎朝野菜を運搬し、また、売れ残った野菜を夕刻に回収する農家の人手不足や高齢化があげられ、今後、この状況が更に深刻化する可能性があることがわかりました。
農家が本来の農業に集中するためには、「青果物運搬を代行する地域社会システムの構築」が必要不可欠です。今回、産学研究グループを組織し、各機関の強みを活かす事で、これまで以上に、社会的に付加価値の高いシステムのベースを構築しました。構築したシステムは、運搬の代行以外に、主に4つの特徴があります。
(1)電動車輌と大型保冷剤の導入による騒音やCO2の削減
(2)青果物の保冷とそのモニタリングを常時実施
(3)SNSを利用した当該青果物の販売と鮮度情報の提供
(4)実証実験で用いた保冷野菜と既存の運搬方法で運んだ野菜の味・効能の比較
また、今回の実験は、日々青果物の運搬を行う農家やJAの来店者、JA等に評価調査(ヒヤリング調査等)も実施し、実験システムの課題発見と改善点の整理を行うことを目標にしています。今後、本実験は、夏・秋・冬にもGC綾瀬で実施予定です。