佐賀市の清掃工場の廃ガスから二酸化炭素を取りだし、農業などに活用。ごみ処理施設から “資源” を生み出すプロジェクト

佐賀市は新年度から2年計画で、市の清掃工場(高木瀬町)の排ガスから二酸化炭素を取り出し、農業などに活用する実証実験に取り組む方針を固めた。清掃工場の排ガスからCO2を取り出す研究に乗り出すのは、全国の自治体で初めて。生活に欠かせない一方、「迷惑施設」と敬遠されがちなごみ処理施設から “資源” を生み出すことで、イメージの転換も狙う
 
 
市の循環型社会推進課によると、同工場の運転を委託されている荏原環境プラントのほか、東芝や九州電力などが準備段階の会議に参加している。東芝は既に、福岡県大牟田市の火力発電所などの排ガスからCO2を取り出す試験的な施設を設置している。CO2の空気中の割合は0.04%程度に対し、清掃工場から排出されるCO2は約7%。ただ、CO2だけでなく、さまざまな物質が入っているため、第1段階では純度の高いCO2の分離・回収を目指す。
 
 
農業分野での活用は、研究機関との協力も視野に入れている。CO2は光合成を促すとしてイチゴの収量や品質向上に使われ、効果を上げていることから、工場周辺で複数の農作物を育て、適した作物の選定や濃度などについて具体的に実証していく。また、ごみ処理場の排ガスには消費者の心理的なハードルも高いとみて、市は「特に、安全性についての実証は入念に行う」とする。
 
 
佐賀市は2010年2月に「環境都市宣言」を行い、ごみ減量や太陽光発電の設置費用補助事業などに取り組んできた。同課は「地球温暖化の原因とされるCO2削減は世界的な課題。有用なものへの転化を可能にする確かなステップとなるように取り組んでいきたい」と力を込める。(参考:2013年1月3日、佐賀新聞より)