植物工場ベンチャーBowery Farming社が750万ドルの資金調達に成功。地産地消型モデルの普及へ

 米国ニューヨークを拠点とするBowery Farming社は、完全人工光型植物工場による生産技術の開発・販売を行っているベンチャー企業だが、今月末に750万ドルの資金調達に成功した。同社は2015年に設立し、ニュージャージー州のカーニーに試験栽培用の研究開発施設があるが、量産施設を運営した経験はない。

米国では近年、完全人工光型植物工場や都市部エリアの屋上スペースなどを活用した太陽光利用型植物工場を運営するベンチャー企業に投資が集まっている。

研究開発のみで、本格的な生産実績のないベンチャーであっても1億円近くの投資を受けている事例は多い。実績のある企業であれば、ゴールドマン・サックス等、有名投資銀行も含め、複数社から数十億円の資金調達に成功している事例もある。

 今回のBowery Farming社の場合、First Round Capitalを中心として、レストラン経営者の有名シェフTom Colicchio氏も参画している。生産企業へ投資することで、運営するレストランでも試験的な野菜の採用を進めながら、エンドユーザーにマッチした品目・野菜の特徴を生産側にフィードバックすることができる。

同社では約2年間で80種類以上の野菜の試験栽培を行い、生産した野菜はニューヨークの都市エリアを中心に高級野菜を取り扱うホールフーズやForagers Marketなどの小売・直売店、現地レストランへ販売を行っている。

植物工場の設備プラント(現在の試験プラント)も、各農業資材メーカーから調達・組み合わせたもの。栽培管理などのソフト面では自社開発した生産管理システム「Farm OS」を活用し、様々な栽培環境データをリアルタイムに集約・分析しながら植物の生長に最適な環境を実現するソフト開発を進めている。
植物工場ベンチャーBowery Farming社が750万ドルの資金調達に成功。地産地消型モデルの普及へ
 現在はベビーケール、ケールミックス、ミックスリーフ、バターヘッドレタス、ルッコラといった野菜を日本のような大きな形ではなく、ベビーリーフに近い葉を中心に収穫・パッケージした商品を販売しており、通常の商品は約3.5ドルにて小売店舗で販売されている。その他、内容量が少ないバジル商品も販売している。

今後は自社ソフトの開発・販売とともに、大規模施設による量産体制を構築していく計画。収穫してから1日以内でレストランなどへ提供することで、カリフォルニア州などの遠方から運んだ野菜とは異なり、新鮮な香りの強い地産地消型の野菜を強みとして、ニューヨーク州を中心に、隣接するニュージャージー州、コネチカット州をターゲットに野菜を販売していく、という。

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植物工場・農業ビジネス編集部

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