発電過程から出るCO2と廃熱を植物工場に利用。キャタピラー社とサンセレクトが戦略的提携を発表

 30年以上の太陽光利用型植物工場による高品質野菜の生産を行うサン・セレクト プロデュース社と建設・掘削機械の世界的メーカーであるキャタピラー社が戦略的提携を発表した。具体的には、キャタピラー社が米国イリノイ州・モスビルで運営する発電施設から出る排出物を植物工場による野菜の生産に利用するもの。

まずは両社による事業可能性調査をスタートさせ、その後、サン・セレクト側が発電施設に隣接する土地を購入し、約24ヘクタールの大型植物工場を建設する計画となっている。

発電過程から出るCO2と廃熱を植物工場に利用。キャタピラー社とサンセレクトが戦略的提携を発表
発電施設は天然ガスによる火力タービン発電。そこから出る排出物として豊富なCO2と高温ではないが、ある程度の温度の廃熱を得ることができる。

発電だけでなく、廃熱とCO2は植物工場内の暖房や植物の光合成促進に利用する「トリジェネレーション(トリジェネ)」と呼ばれるもの。

 植物工場による野菜生産により、地元住民に対しても環境保全型の生産方法にて、地産地消の新鮮野菜を供給するとともに雇用創出にもつなげる。施設がフル稼働することで、300名の常時雇用創出が可能である、という。

従来の露地農業の場合、収穫時期などの忙しい繁忙期と、簡単な管理運営作業のみの閑散期があり、雇用人数に大きな差が出るが、周年生産が可能な植物工場では年間で安定した雇用にもつながる。

キャタピラー社は、建設・掘削関連の機械や発電装置などの世界トップメーカー。90年以上の実績を持ち、2015年の売上高は約5.35兆円を誇る。

一方で、サン・セレクト プロデュース社は1985年に設立し、カナダ・ブリティッシュコロンビア州のアルダーグローブを拠点とする生産者。現在はカナダと米国・カリフォルニア州にて合計53ヘクタール(パプリカだけで約28ha)の太陽光利用型植物工場を運営し、パプリカや枝付きトマトの周年生産を行っている。

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