国内のデータセンターにおける電力消費量の増加が予想される中、ヤフー子会社のIDCフロンティアでは、新設したデータセンターに併設して、その廃熱を利用した農業実験を行っている。
北九州市の新日本製鉄敷地内にある最新鋭のデータセンター「アジアン・フロンティア」では、無機質なコンクリートの建物の傍らに、小さなビニールハウスがある。
このデータセンターを運営するのはヤフー子会社のIDCフロンティアであり、企業や行政からサーバーを預かるデータセンターは70億円程度をかけて建設し、2008年に完成させた。その約1年後の2009年11月に、温室ハウスによる栽培実験を開始。
温室ハウス面積は、約26m2と非常に小さいが、トマト、パプリカ、バナナなど約10種類を栽培している。温室内の暖房熱は、データセンターから送られる廃熱のみで賄っている。
サーバー機器保護のため、データセンター内は一定の温度を維持する必要がある。アジアン・フロンティアでは稼働時から、屋外の気温が22度以下で一定の湿度の場合、外気をサーバーの冷却に使っている。
冷房の負荷が減り、同センターの使用電力は従来のセンターと比べて4割減ったが、外気を取り込む代わりに、同量の空気を排出して、建物内の空気圧を調整する必要がある。
サーバーの背後から出る熱を含んだ温風を、単に外に出すのではもったいないとの視点で、廃熱をダクトに集め、ハウスの暖房に使うことにした、という。
IDCフロンティアは、2012年の完成を目指す福島県白河市のデータセンターでも、同様の試みを検討する。データセンターの廃熱を年間を通じて大量にうまく集めれば、大規模な植物工場を併設することも可能である、という。
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