シャープの協力工場として電子部品の生産を中心に成長してきた電子部品製造のサンエスは、従業員の雇用確保のための新規事業として植物工場の実用化を目指して研究している。広島県福島市の社内ビルの中で、今年7月から植物工場の実証実験を開始。縦横2.5m、高さ2.2mの棚を自作で作り、レタスを栽培している。<同社の売上高:214億円(2010年3月期)/従業員900名>
サンエスでは、2011年3月まで実証実験を行いながらノウハウを蓄積し、3年以内をめどに自社工場での野菜生産を開始する計画だという。近年、照明関連企業や半導体・電子部品関連企業からの参入が目立つが、同社もシャープ向けに電子部品を生産している国内の自社工場を転用する目的がある。生産で培ったクリーンルームや純水装置の技術も安全、安心な野菜作りに活用できる、と考えての参入である。
もちろん同社だけでなく、同じような業種・理由から植物工場分野に参入する事例は急増している。その多くが3?5年以内には新規事業として確立させ、新たな収益柱にする計画のようだが、長期的な視野のもと「グローバルな視野に立ち、市場価値の高い希少品種の栽培技術確立、コストの大幅削減、専門的な人材育成と新たな事業モデルでの展開」など、成功のためには様々な課題をクリアしなければならないだろう。
差別化をはかるために、空調関連機器の三共空調ではヴェルデの特殊土壌を活用して、栽培棚を上下に移動可能な土壌栽培可能な植物工場の試作装置を開発している。試作機は高さ2.5m/3段にて蛍光灯にて栽培しており、同程度の大きさなら価格は400万?500万円にできる見通しであるという。
今後は自由に大きさをカスタマイズできるように栽培技術・ノウハウを蓄積していく計画である。<ヴェルデの特殊土壌については、こちらの記事を参照>
新規事業として植物工場分野に参入したものの、数年後には、そのほとんどの企業がプロジェクトを中止している、という結果にならないように当法人としても有力な情報・アイデアを提供できればと思っている。
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